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幸せ色の三時/クロナ



とってもねむい

体がふわふわ浮いてるような気分だ。

ソファーに寝転ぶ私とクロナ。


「なまえ、寝ちゃった…?」

「ねとらぬよくろな」

「でも、もう口調がたどたどしいよなまえ」

「ふむーー」


ぼす と枕に顔を突っ込んだ。駄目、ほんとにねむいの。


クロナが急に家を訪ねてきた。枕を持って。その時刻、夜中の三時。


ぐっすり寝ていた私はむっくり起き上がりひとまずクロナを家の中に入れる。


「何か用なら…手短に…お願いしますよクロナさん」

「う、うん
僕…なまえに相談があって…」

「へえ」

「マカ達にも相談したんだけど、うまくいかなかったんだ…」

「へえ」

「だからなまえに、と思って」

「へえ」

「なまえ……聞いてる…?」

「きいてる、きいてる」

「じゃあ僕なんの話してた?」

「きいてる、きいてる」

「なまえ〜っ」

「わぶっ分かったよ起きます!」


ぽかぽかと頭を叩くクロナは涙目だ。仕方ない。友達の悩みを解消するのは友達の役目!ここはコーヒーという名のリーサルウェポン(最終兵器)を使うしかない!


「う……にがい
でも目ぇ覚めたわ」

「えっと……どこまで話したっけ…?」

「ミニスカートが履きたくなった話だよね」

「そそそそんな話してないようっ!」

「照れるな照れるなクロナ脚綺麗だからきっと似合うよ」

「や、止めてよそのいやらしい目!」

「冗談だって。
相談でしょ?
はいどうぞ。でも私今寝ぼけてるからちゃんとしたアドバイスとか言ってあげれないと思うよ

ていうかこのコーヒーほんとに苦い!」

「うん……聞いてくれるだけでありがたいよ」


クロナが牛乳と砂糖を少しだけなまえのコーヒーに入れる。


なまえはカップに口を付け上目でクロナの表情を覗いた。


「あのね…最近僕…、眠れなくって……」


ぎゅ と枕を抱く手に力が入る。目を瞑れば追いかけてくる闇。僕が今まで無差別に狩ってきた魂の叫び声が耳元で響き続ける。


「僕は、本当は死ななきゃいけないんじゃないかってどんどん暗闇に墜ちていってしまう。僕がやってきたことは罪で、裁かれなければならないんだって。

そう考えていると、太陽が顔を出すんだ」


罪の概念が頭を渦巻き自分を混沌へ落としてゆく。すっかり深くなってしまった隈がさらに色濃く影を作ってしまった。



「魂が…僕が生きることを許してくれない」



風で消えた蝋燭。胸に手を当て瞳を閉じる。駄目だ。僕は、僕が、僕を…


「クロナ、」


それまでじっと黙って話を聞いていたなまえがクロナの頭に自分の手を乗せた。目を開いたクロナがなまえを見つめる。


「おいで、抱き締めてあげよう」

「え、え……」


なまえは戸惑うクロナに溜め息を吐き、強引にクロナの腕を引き寄せ抱き締めた。


「クロナの髪は淡いピンク色だね。わたあめの色だ」

「う、うん……」

「夕日に染まる雲の色。吹雪く桜の色。貝殻の色。頬の色。」


ゆったりとした動きでなまえがクロナの頬を撫でた。クロナは薄く微笑むなまえにどきどきと胸を鳴らす。


「クロナは幸せの色を沢山持ってるね。羨ましいよ」


しあわせの 色?

クロナが問えばなまえは そう。と頷いた。僕の髪は幸せの色…


「死ななきゃいけない人間なんていないんだよクロナ。人間は、幸せになるために生まれるんだから」

「……」

「クロナは悪くないよ
だからクロナがそんなに自分を追い詰める必要も無い」


瞳からぼろぼろと大粒の涙が零れる。

そうか、僕、許して欲しかったんだ。ずるい。けど、なまえは許してくれた。優しく まるでお母さんみたいに、抱き締めてくれた。


「なまえ…っ
うぅっ……」

「人との接し方が分からなかったクロナが人を頼るようになって嬉しいよ。いつでも相談に乗るからね」

「なまえ〜っ」

「泣くな男だろう!いや、女……?ん?どっちだっけあれ?

ちょっとクロナ、失礼します」

「ちょ、ちょっとなまえどこ触って……!」






触れた唇は、
苦いコーヒーの味でした

























幸せ色の三時

(しーっ静かにっ)
(2人共寝てる……)
(なんでなまえの部屋にクロナが?)











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あきゅろす。
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