太陽が笑ってる34000hit秋雪様リク クロナ
雨が降る朝は、部屋の中がじとりと湿り、薄暗くて時間感覚が狂う。日曜日の朝なら尚更だ。前の日の夜更かしが響き朝だか昼だか分からなくなる
「(最悪…)」
時計の短い針は4と5の間を差していた。休日だが二度寝という気分にもならないので、散策にでも行こうかと思う
扉を開ければ長い廊下が続く。両親が放浪性で、大きな家に1人で住むのもなんだから、と私は死武専に預けられた。一応私は武器だが、パートナーはいない
いらない、とも思う
──カタン
そういえばつい先週くらいに、隣のお泊まり室がうまった。ちらりと見えたピンク色の髪の毛。あの肩の細さからしておそらく女の子
音がした。きっとあの子も間違えて起きちゃったんだ。 そう思うとなんだか親近感が湧いてきた
「おはようございます」
「っ!!
お…おはようございます……」
驚かせちゃったかな…?女の子にしては少し低めな声は震えていた。鉄格子からはただ壁しか見えない
「どこへ行くの…?」
「…散歩に」
少し驚いた。話しかけられるとは。扉越しに控え目に呟かれる言葉に一生懸命耳をそばだてた。ぽつり、ぽつりと。私はこの子ともっと話したくなった
「ねえ…私あなたともっと話がしたい」
すると鉄格子にひょこりとピンク色が現れた。そして鍵が開きゆっくりと扉が開く
「……君の、名前は?」
「クロナ…」
「私はなまえ」
「なまえさん…」
クロナは俯いて左手で自分の右腕を掴んだまま動かない。
「ど…どうぞ」
「おじゃまします」
質素な部屋だった。そんな中に高く積まれた本達。
友達を作る方法ー
ー相手と話す
対話マニュアルー
人と接するにはー
………などなど。
クロナがどんな子か少しだけ分かった気がした。クロナはあわあわと部屋の中を見渡し、何を思ったか冷たいコンクリートの上に毛布を敷いた。
くすりと笑ってしまった。ちょっとしたレジャーシートのようだ。そしてその上にベッドを背もたれにして2人で並んで座る
「えっと……なまえさんは…」
「なまえでいいよ」
「え!え、……。
…じゃあ……なまえ」
「うん。
私もクロナって呼ぶね」
「!」
そう言ってにこりと微笑めばクロナは顔を真っ赤にして目を見開いた。体育座りをして立てた膝に顔をうずめ、下を向く。耳まで真っ赤だ
「クロナは武器?職人?」
「僕は職人だよ…魔剣士」
「へえ…魔剣士か
私は武器。でもね、パートナーはいないの」
「……え?」
「なんでだと思う?」
「………」
確信があった。クロナなら分かってくれるような気がした。こちらを見つめるクロナの瞳が揺らぐ
「……接し方が分からないの……?」
「………」
こちらを覗き込んできたクロナは心配そうな顔をしていた。
私は、人と密接な関係になるのが苦手だ。関係が深ければ深いほど裏切られた時が辛いから
───ぎゅう─
「え」
気付けはクロナに抱きしめられていた。いや、抱き付かれた といった方がいいかもしれない
「クロナ……?」
「ぼ…僕のパートナーは…
我が儘だしすぐ僕を殴るしひどい奴なんだ…」
ああいつも隣から聞こえるあの声と音はそういうことだったのか
「でも………
僕は、感謝してる……」
「……」
「きっと僕一人じゃここまでやってこれなかった…
ここに……死武専に、
なまえにも会えなかったよ」
クロナの目はしっかりとしていた。守る目だ。私もクロナの背中に腕をまわして、肩に額を当てた
「一人じゃないって……
思うんだ」
「そう………ね」
ぎこちなく頭を撫でる手に目を細めた。なんだかとても眠い。クロナもそれも同じみたいで、瞳がとろんとしてきた
「いいな……君の武器は」
「………」
2人抱き合ったまま眠りに付いた。そういえば雨の日の朝方にはもう一つ特徴があった。でも気にすることはない。だって今日は日曜日。
特徴。それは、
二回目の眠りは
とてつもなく深いってこと
太陽が笑ってる
(君の武器になりたいよ)
:)秋雪様リククロナ夢……!
あ…甘くない……!!(((゜д゜;)))ぎゅーまでが長すぎたorz
こんなものでよろしければどうぞ秋雪様……!
リクエストありがとうございました!
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