「なでてください」 「は?」 「頭!」 日誌を書くおれの前に座って、邪魔をしまいと頑張って静かにこちらを見つめていたスサがとうとう口を開いた。 今日はよく我慢した方だと思ってたのになあ。しかもまた意味不明なことを。 「撫でねえよ」 「なんでですかあ」 「おれァ今忙しいんだ」 「わたしもいそがしいです」 今から12時になったら昼飯食って、2時になったら昼寝して、3時になったらおやつ食べて4時になったらキッチンに夕飯つまみ食いしに行って5時になっ 「ああ、もういい、分かったよ」 「忙しいでしょ。じっと本を読んでる隊長よりずーっと忙しい」 「ああそうだな」 「はい」 目の前ににゅっと近付けられた頭はふりふり動いて撫でられるのを待っている。 理由はよく分からないまま言われた通りスサの頭に手を置きそのまま3回ほど撫でた。 「隊長の手好きです」 「ん?」 「あったかくてー、眠くなります…」 「そうか」 「だからもっと撫でてくださいよう」 むず、 むずむず。 その日は丸一日彼女の頭から離れなかったおれの手は。 [*前へ][次へ#] |