側に





限り無く近くても、私の手には届かない−−。


貴方が向こう見ずに駆けてゆくから、私は・・・
また大切な人を失ってしまうんじゃないかと不安になる。


−また似た様な夢。


暗くて深いもの、
海が貴方を飲み込んでしまう−−。



−午前四時。
薄暗い闇の中、そっと甲板へ出る。


人の気配はなく、ただ波の音が響いている。


どうにかなりそうな気分の時、ナミはこのミカン畑から朝日を望むのだ。


東から登る太陽が自分と“ココヤシ村”を近づけてくれるような、そんな気がして。


不意に、人の声がした。



「にぃ、肉゛ぅ・・・」


「はぁっ!?」


あきれつつ、声のした方へ行ってみる・・・。


「・・・やっぱり」


溜め息をつく。

「ルフィ、あんたこんな所で寝てたの・・・風邪ひくわよ?」

「う゛ぅっ」

「もう・・・!」


部屋から毛布を取ってきて、そっとかけた。


何気なく隣に座る。


間近で見る“彼”はとても凛々しくて、か細く感じる。


−−見上げた空では、金星が闇を支配していた。


「・・・・・」


「こんなに細いのに・・・
 どうしてその体で全てを、切り拓いていけるの??」



「・・・その瞳に、私は映っているの??」



そっと呟いてみる。


−−暫くして、ルフィがゆっくりと瞼をひらいた。


「・・・あぁ、やっぱりナミか。」


「・・・どうして分かるの?」


「いいにおい、した。」


「え・・・?
 食べ物じゃなくて?」


「あぁ!お前が側にいると、安心するんだ・・・」



「・・・・」



ルフィは、また微かな寝息をたて始めている。




「それで充分よ・・・」


ナミは朝日よりも元気を貰い、笑顔で答えた。


−−海は陽に照らされ、キラキラ輝いている。



end.

by:サキ様より





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