シルビア



キラキラして。




すごく眩しいと思った。




あんなになじったのに。




あんなに醜態を晒したのに。




貴方はまだ信じてくれるの?




醜いだけだと思っていたあたしを。




何も変われずに、唯 屈するしかなかったあたしを…───




「ナ〜ミ!」




ココヤシ村が自由になった日の夜。




両手にいっぱいの肉を持ったルフィがナミの休む病室へとやってきた。




「お前も食え!」




肉をぼーんと広げてあった新聞の上に放る。




「肉しかないの?」




ナミが呆れて言った。




「何か取ってきてやろうか?」

立ち上がりかけたルフィを、ナミが止めた。

「ん!いいわ♪いただきます!!」


少しかじってみる。


──食べ物がこんなにおいしいの…久し振り…


少しだけ、瞳が潤んだ。


「おいしい…ね」


笑ってみせる。

バフッ!と、大きな手が、ナミの頭を叩いて、そのまま乗っている。

「お前は。」


「もう泣かなくていいんだ。」


力強い、声だった。


「悲しい時は。」


「泣くな。」


まるで自身に言い聞かせるように。



「その代わり、今みたいに嬉しい涙はいっぱい流していいんだぞ。
後はいっぱい笑え。」


ルフィは笑っている。

その姿はだんだん霞んで、見えなくなっていった。


「…うん」


ニシシ。とナミの頭を二・三回軽く叩くと、ルフィはその白い包帯を庇いながら、ナミを抱き寄せた。
言葉を紡ぐ度に肩口に感じる息が、なんだかくすぐったい。


「お前 ほそっこいな〜」

「ナイス・バディーと言って」

涙で滲む瞳をルフィに向けて、精一杯笑う。


どちらからともなく、自然に唇が触れる。


「お前を泣かせたりしない。」


「約束したし、俺もそうしたい。」

短い触れ合いの合い間。


「大好き。」


やっとそれだけ吐き出して。


「俺も、大好き。」



その日あたしは、初めて気持ちのイイ キスをした──。

‐END‐


BGM: Janne Da Arc/シルビア

by:キナコ様より



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