COCOON 聖なるこの夜に。 「あんたがいてくれてよかったわ」 祝福の幻想が。 「なんか…色んな事バカらしくなっちゃうもん」 眩く輝いた光の波に君を。 「どこへだって連れてってやるよ」 闇から抜け出して。 「お前が行きたい所なら」 連れ去ってしまいたいけれど。 「どこだって」 スノー・スノゥ・タウン。降り立った麦わら海賊団は、思い思いの行動を始める。 皆コートを着てはいるが、鼻が真っ赤になってしまう程寒い。街の真ん中に大きなもみの木があって、そこから通りが何本も出ている。 「ここに集合ね♪」 寒いとは言っても、クリスマス・ツリー等が忙しなく並んでいてきらびやかだ。 「ん!」 突然思い立ったようにナミの手を引いて歩きだす。 「ちょっ!ちょっと!何?何なの?」 一件の店に入ると、茫然としているナミを放って、何やら熱心に探している。 「ル…ルフィ?」 何がなんだか解らないまま。 近くの椅子に倒れ込んだ。 しばらくすると、小さな箱を持ったルフィがどかどかとやってくる。 「行こう」 「行こうって…」 ナミの返事を待たずに腕を引く。 「どこに?!」 街の外れの小さな丘。 かろうじて入口らしき所には、小さな鐘が二つ、ぶら下がっている。 「ルフィ!!なんなのよ〜!!」 息が切れそうな程。 寒い。けど。 「うわ…あ」 振り返れば、街が見渡せる程。 「キレイ…」 呆気に取られて。 思わず手なんか握っちゃったりした。 「な!キレーだろう♪」 満円の笑みでナミに笑いかける。 「さっきふっ飛ばされてここについた時、あんまりにもスゲーからお前に見せたかったんだ」 「キレー…」 瞳を輝かせ、寒さと合間って頬を紅潮させているナミを、ルフィは満足そうに見つめていた。 「ルフィ…」 「ん」 「ありがとう」 「…おう」 少しだけ、このグランドラインでの自分の無力さに焦っていた。 皆の前では明るくしてたのに…。 「ぅん!?」 気が付くと、目の前にルフィの顔が見えた。 「連れてきてやったお駄賃だ♪」 ニシシ。といつものように笑うと、ナミの攻撃から逃れるように走り出した。 「なっ…!待て〜!!」 笑いながら逃げ回るルフィと、拳を振り回すナミと。 二つの足跡が、笑い声と共に増えていく…。 微かに触れた唇の感触が、ナミの中で溶けていった── ‐END‐ BGM:pierrot/cocoon by:キナコ様より [*前へ][次へ#] [戻る] |