カフェ『皐月堂』へようこそ(レナルキ他)
本編8
怒鳴り返したその相手がデジモンだということは、もちろん解っている。でもそれが何だって言うの!
「私は人間よ!」
私はさらに大きな声で言った。
「私は人間だから、デジモンのように戦うことは出来ない。だから足手まといにしかならない。怖いものは怖いし、力も強くないし、不思議な力も使えない。
でもね! それでも私はキュウビモンが大好きだから! だから一緒にいたいの! 彼がケガをしたりしないかって心配するの! 好きだから当然なの! 人間だからとか、デジモンだからとか、そんなの関係無いじゃない! アンタだって好きなデジモンがいるんでしょ? 解るんじゃないの? この気持ちを。それを笑うの? 笑っていられるの? アンタの性格、超サイアク――――!」
一気にそう言うと、今さっきファントモンを殴ったそのバッグのショルダー部分を両手で握り締めた。汗が流れる。背中にも手の中も、汗が流れている。汗びっしょり。
――どっちから攻撃してくる?
黄金色の鎌は叩き落した。それを目の前にいるファントモンは拾いもしない。実体の無い亡霊のような姿だから、動いたり話したりしない限り、表情も感情も解らない。
ファントモンのその衣ははためく。風が強く吹く。衣はばさばさと不気味な音を立てる。ファントモンがその鎌を拾い上げて攻撃をしてくるのか、それともその鎌が無くても攻撃することが出来るのか、全く予想出来ない――。
そして、もっと恐ろしいことが起きている。
――ヤバイ。
周囲にいる無数のファントモンは、身構えているシードラモンさんやリリモンさんには目を向けていない。全ての敵が私を見つめている。
――ヤバイ、きっと、かなりヤバイ。
目の前のファントモンにさえ――ウィザーモン先生やテイルモンさん達でさえ苦戦するほど強いデジモンを相手に、人間の私が対等に戦えるわけがない。それが今、『データコピー』とシードラモンさんが言っていた技で、まるで大量生産されたように増えている。そして、私一人を標的にしようとしている……!
――チャンスは? きっとチャンスがあるはず! この状況を逆転させるチャンスを探さなくちゃ!
ごくりと、唾を飲み込んだ。私は知らず知らずのうちに、キュウビモンに寄りかかっていた。
「…………」
――キュウビモン……! そうよ、キュウビモンがいるんだもの。彼が起き上がることが出来ないんだから、ファントモンの攻撃をこの場所から遠ざけなくちゃ……この状況をどうにかしなくちゃ!
私は決心した。決めたら、ふっと、心が軽くなった。
――とにかくキュウビモンから離れよう。キュウビモンが意識を取り戻すまで、それまでなんとかしよう。私がファントモンを引きつける。――そう、せめて私に出来ることは時間を稼ぐことしかないっ!
「……」
ちらっと、ファントモンの黄金色の鎌がどこにあるのか確認する。左にあった。左、私から斜めの方向……三メートルぐらい離れている。
――思いっきり叩き落したから、今はあの場所にある……。重さはどれぐらいあるのかしら? あれを拾い上げることが出来るか……とにかく、やってみよう。
『右』に行こうと体を傾ける。右足を一歩出し、左足も続く。
ファントモンがすかさず動く。
――フェイント。
そこで、方向変更! 球技でよく使う手だ。
――よし!
ファントモンを引き離すために、全力でダッシュ!
「なにっ!」
ファントモンが私を追う。
――ああ、こんなことが前もあったかも。そういえば――小六の頃、あった……。
私はふと思い出した。
――六年生の頃。小学校最後の運動会で、私はアンカーだった。
思い出したのは、そんな昔の思い出。
ファントモンの左腕が私へと伸びる。私はそれを避けようと、体を前に屈みながらまた方向を変えて、一歩、そして次の一歩へと、とにかく走り続ける。
――私のクラスは赤組。学年選抜対抗リレーが最後の種目。私はアンカーのたすきをかけてスタートラインに立っていた。
「逃がさないよっ!」
ファントモンの鋭い声が響く。
――私にバトンを渡す五年生の子が、バトンタッチに失敗した。
私は踏み込んだ足を切り返すように、後ろをくるっと振り向いた。
――バトンが視界から消える前に、それを目で追った。そうよ、あの時は――赤い、プラスチックか、そんな材質のバトン。短いそれを拾う。とても軽く感じた。
私は、ファントモンの鎌に手を伸ばす。
――今は、金色!
片手で拾い上げるのは無理かもと気付き、とっさに体をひねる。ファントモンの顔目がけて、バッグを投げつけた。その結果を見届けることはしない。投げたその後、すぐに、地面に転がったままの黄金色の鎌に手を伸ばす。
――重いっ!
片手じゃやっぱり無理だった。両手で正解っ! 両足も踏ん張り、思い切り持ち上げた――!
――バトンを拾い上げ、あの時、走った。走らないと私達の赤組は負けてしまう。黄組が赤組を50点差で押さえてトップ。黄組を追い抜くためには、私がトップでゴール出来なくちゃダメだった。
記憶がよみがえる。
――全力疾走。まず、白組を抜いた。足の感覚が無くなりそうなぐらい走って、トラック半周走ったところで緑組も抜いた。
悔しかった記憶が、次々によみがえる。
――けれど……黄組のアンカーは私よりも先にゴールしていた。
キュウビモンからなるべく離れようと、私は黄金色の鎌を持ち上げようとしたけれど、重い。走るためにバランスを取ることが精一杯。膝より上に持ち上げられない。思い切り走れない……!
――「ごめんなさい」って、五年生の子は泣いた。私は精一杯やったその子が、私と同じように放課後に練習しているのを知っていた。頑張っても結果がないと意味が無いって言うことは解る。そこから得るものがあるって励ましてくれる先生もいたけれど、でも……あの時の悔しさはあの子にしか解らない……。
私は、黄金色の鎌を構えようとした。けれど、やっぱり重くて無理だった。
――出来ることを精一杯やって、悔しさが結果として残らなければいいと思った。仕方が無かったことだからって、諦めることはやっぱり辛い。頑張って結果にならなかったら、次に頑張りたいとも思えなくなってしまう。でもそれでも……その悔しさを覚えていることも強さだし、忘れることもそれを乗り越える強さだから……!
考えているうちに、私は――自分がしようとしていることが、とんでもないことだと気付く。考えるより先に行動しようと思ったけれど、でも、これは……!
――バカじゃない? 私、バカじゃない?
と、思った。それでも、ここからの距離を考えたら、まだ……行けるかもしれない!
――やってみなくちゃ。とにかく、まず、やってみよう!
私の上にファントモンが覆い被さるように近付く。それを避けようとして、真上に閃光が走った。
――うっわっっっ!
砲撃の音、同時に、ファントモンの影が無くなったのとことに気付く。リリモンさんが攻撃し、私を追いかけていたファントモンが消し飛んだと知る。
「走れ――――!」
リリモンさんが叫ぶ声が聞こえた。さっきまで泣いていたリリモンさんが助けてくれた……!
「はいっ!」
大声で返事をした。辛いのに助けてくれるリリモンさんの気持ちを無駄にしないために、走る!
「くそっ!」
「逃がさない!」
「人間ごときが生意気なっ!」
口々に喚きながら、ファントモン達が私に向かってくる。それをリリモンさんが撃ち落す。両手で構える武器からの砲撃が、ファントモン達を次々に消滅させていくのを、肌で感じる。
――リリモンさんって凄い……!
私の前に、ファントモン達のうちの一人が立ち塞がる。
「逃がしはしないよっ!」
叫ぶファントモンが黄金色の鎌を構えて振り上げたその時、
「ギャアアアッ!」
シードラモンさんの氷の槍が射抜いた。その勢いは強く、ファントモンを射抜き切り、氷の槍は地面に突き刺さる……! ファントモンのデータはもちろん砕け散った。
――シードラモンさん!
右に左に、ファントモン達の攻撃が迫る。そのたびに、シードラモンさんの氷の槍がそのデータを射抜く。
ファントモン達をジグザグに避けながら、私は黄金色の鎌を手に、必死に走る。
――おーもーいっ――!
体中から汗が噴出す。腕が抜けそう。手が痺れる。
――バカ、だ――! でも、バカでもいいものっ!
心の中で、私は叫ぶ!
そして――私へと、前方――遥か彼方から黒い影が走ってくる。
――あの影は、まさか……!?
身構える私のすぐ横を、
「え? あ――!」
金色の影が横切った……!
――キュウビモン!?
いつ目を覚ましたのか解らない。
「キュウビモンッ!」
キュウビモンが追いかけてきてくれた! 私の横を走り、少し先で立ち止まる。土煙が舞う。彼の体はしなり、旋回するように九本の尾が大きく揺れた。
――キュウビモン、キュウビモンッ!
彼が目を覚ましてくれたことが嬉しい。私に力を貸してくれることが嬉しい。胸が熱くなった。彼に駆け寄る。
彼の目が私を見つめる。強い意志を感じた。
サッと腹這いになる彼に、私は
「乗せてねっ!」
と怒鳴るように言った。
キュウビモンは小さく鳴き、応えてくれた。
私は急いでよじ登る。黄金色の鎌を持ったままだから上手く上れない。
――あぁもうっ、時間無いのに!
焦りながら彼の首に巻かれている紅白の綱に掴まる前に、彼は立ち上がった。
「きゃあっ」
声を上げるものの、彼はそれにはかまってくれない。新たなファントモンが迫ってきていた――!
私は急いで彼にしがみ付く。
キュウビモンは走り出した。数歩走り、トンッと地を蹴る。そのまま一気に空を走り始める。空に道があるような錯覚さえ起きそう。私が走るよりずっと早い。どんどん早く、風のように早く走り始めた!
――ファントモンを振り切れるわ!
そう思った。実際、ファントモンはキュウビモンの全力疾走にどんどん距離を離していく。
私は黄金色の鎌を構える。手が痛いっ。
「……!?」
手が変に痺れている。それが重いからじゃないことに気付く。
「――っ」
――これぐらい、我慢しなきゃ!
奥歯を食いしばるだけで、手の平は見ないことにした。
私達へと迫ってくる黒い姿は、もう目の前に迫る!
「ドーベルモンさん――」
――ドーベルモンさんは無事! ベルゼブモンは――!?
ドーベルモンさんの両目は燃えるように輝く。私達を攻撃するつもりだ。私達が誰だかも忘れてしまっている……!
キュウビモンがドーベルモンさんを避けようとする。
ドーベルモンさんはキュウビモンに噛み付こうと躍り掛かる! 獰猛な唸り声が響き渡る。
「アリスを助けたいんですっ! どいて下さい!」
怒鳴るように言った。でもダメみたい!
「ドーベルモンさんっ! お願い!」
ドーベルモンさんには聞こえない。ドーベルモンさんは、キュウビモンの背中にいる私を攻撃しようとする。
キュウビモンが大きく、左に跳んだ。
――きゃあ!
振り落とされないよう、彼の背中にしがみ付く。
ドーベルモンさんがそれを追いかける。
キュウビモンは後方に小さく飛び、突然、急降下する。
私の体は一瞬、宙に浮いた。けれどそれは一瞬で、彼の急降下は突然止まる。私は彼の背中――背骨がある辺りにドッと体を打ち付ける。
――あいたた……。
キュウビモンは突然、空中を先ほどよりさらに速いスピードで走り始めた。ドーベルモンさんを振り切るつもりみたい。
でもドーベルモンさんだって速いんだから! そう簡単には逃がしてくれない……!
――振り切ることは出来るかどうか、やってみないと解らないんだけれど! それは可能性低いんだけれど! あーもう! やるっきゃないんだけ
れど――っ!
キュウビモンをドーベルモンさんは追いかける。
キュウビモンは私を乗せたまま、走る。空中を蹴りつけるように走る。
どちらも速い。
私を乗せていて、さらに私がファントモンの鎌を持っているんだから、キュウビモンの方が不利。でも、とにかく今は負けるわけにはいかない!
――ドーベルモンさんがキュウビモンに噛み付いて来たら、また私は振り落とされるかもしれない。それでもいい。仕方ないことだもの、仕方ないんだから――――!
ぐっと、両手に力を込めた。
――私がやるんだから!
これを拾い上げたその瞬間に思ったことがある。――ただ、それを試してみたいと思った。それを試したら、アリスを助けられるかもしれないと思った。
――アリス! 待っていて!
ドーベルモンはさっき、あのビンを見つめていた。けれども、アリスのことはもう覚えていないのかもしれない。無意識にそちらを見つめているみたい……!
――ドーベルモンさんが助けられるのなら、とっくにそうしているはず。それが出来なかった――きっと、ドーベルモンさんではあのガラスは壊せなかったんだわ!
そこに一つの疑問があった。
――けれども、ファントモンは『こっちに渡しな』って言っていた。ファントモンはドーベルモンさんがあのガラスビンを壊せないことを知らなかったんだ! だったら、もしかして? もしもファントモンだったら連れて行くことが出来たって――そういうことだとしたら……!?
「あのビンよ!」
キュウビモンはガラスビンの前に下りる。床も何もかも他の全ては被害が大きいのに、驚くほどこのガラスビンは頑丈だった。私は彼の背中から滑り落ちるように地面に降りた。バランスを崩し、よろけて尻餅をついた。慌てて立ち上がると、ガラスに駆け寄る。ドーベルモンさんのものらしい血で赤黒く汚れている。
「アリス!」
アリスは確かにそこにいた。けれど、
「アリス! アリス! 大丈夫!? お願い、目を開けて!」
ガラスの中でアリスは倒れている!
「アリスッ!」
アリスはぐったりと横たわり、動かない。
一歩離れ、私は迷わずに黄金色の鎌を振り上げる。重い。重いけれど、やらなくちゃ!
――も、持ち上がらないっ!?
いったん地面に黄金色の鎌を下ろす。地面に先が当たると、嫌な音を立てて石のブロックが砕けた。
――何よこんな鎌ぐらいで負けるもんですか――っ!
「こんっの――――――――っ!!」
思い切り振り上げ、そのまま、ガラス目がけて振り下ろした――。
確かな手応えが私の手に響く。びりびりと手が、骨ごと痺れる。
――痛い――――っ!
眩しいほどの光が溢れた。ガラスは砕けなかった。代わりにその光が溶かしていくように、ガラスは消えていく――――!
「アリス――!」
黄金色の鎌を地面に置き、私はアリスに駆け寄った。アリスの頬に触ると、すごく冷たい……!
――まさか、死んでいるの!?
「アリス、アリスッ! お願い! ねえ、アリスッ!」
何度呼びかけてもアリスは瞼を開かない。体を抱え起こすように抱き上げる。手がまだ痺れて痛い。アリスの腕を取り、脈を診た。
「あぁっ……間に合うかも!」
弱いけれど、あった! 首筋に右手の人差し指、中指を添えて触れてみる。確かに脈はあった。
「生きている! キュウビモン! アリスは生きているわ!」
私は振り向き、彼を見て――悲鳴を上げた。
「きゃあっ!」
キュウビモンは私の方へ歩み寄ろうとしていた。
「後ろ――っ!」
私の声に、彼は首を捻る。右肩越しに後方を見ようとして、すぐに、獣のような唸り声を上げながら左横に飛び退く。
キュウビモンがいたその場所には次の瞬間、ドーベルモンさんが飛び込んできていた。その鋭い牙はキュウビモンの首を狙うことは出来なかったけれど、次の標的を瞬時に決めている!
「きゃああ――っ!」
――こっちに来るっ!
私の眼前に迫るその鋭い牙を見て、悲鳴を上げてアリスをかばおうと抱きしめる。
「ウォ――ッ」
迫る黒い凶器のようなドーベルモンさんを、キュウビモンが突き飛ばした。
「キュウビモンッ!」
私はアリスを抱えたまま、腰を浮かした。
キュウビモンは体勢を立て直す。次の攻撃を仕掛けようと、ドーベルモンさんに飛びかかる。
ドーベルモンさんも、突き飛ばされたままではいない。そのまま、一歩、地に沈みかけたけれど、そうならなくて、バネのように地を蹴りつけてキュウビモンに立ち向かう!
ドーベルモンさんの方が、有利に感じた。どうしてそう感じたのか解らないけれど、とにかく私は
「逃げてっ!」
と叫ぶしかなかった。
キュウビモンは避けようとしたけれど、首に巻く紅白の飾り綱にドーベルモンさんの左前足の爪がかかる。
そのまま引き摺り倒そうとするドーベルモンさんを、キュウビモンは渾身の力を込めて振り払う。
ドーベルモンさんは大きく体を地面に叩きつけられたけれど、それは何の影響も受けないようだった。
――強い! どうして攻撃を受けてもこんなに強いの!?
両者の唸り声が響き、どちらともなく取っ組み合いのように攻撃をしかける。キュウビモンの牙、爪は鋭く、ドーベルモンさんの頬や目の上を傷つける。瞼に傷を負ったドーベルモンさんは、流れ出る血にはかまわずにキュウビモンの喉を喰い千切ろうと狙う。
――ドーベルモンさん! 強い、強過ぎる! まるで……!
嫌な予感がした。もしかしたら――ドーベルモンさんはかなりの戦闘訓練を受けているように感じた……!
ベルゼブモンが言っていた言葉を思い出す。DNSSという組織が欲しがる力というのは、ドーベルモンさんの特殊な技のことだけじゃないのかもしれない……!
――そうだとしたら? もしも、ドーベルモンさんが特殊な訓練を受けたデジモンだったとしたら? キュウビモンはそういう訓練は受けていないみたいじゃない? あの特殊な技を使われなくても、ドーベルモンさんにはキュウビモンは勝てないとしたら……!
「やめて――――!」
私はアリスの体を抱きしめて絶叫した。
私に、銀色の閃光弾が迫っていることに、気付かなかった。
気付いた時には、
「――――っ!」
もう遅いと思った。
その光はあまりにも眩しくて、私には避けることも出来ないと思った。それでもとっさに体は動き、アリスを抱えて逃げようとした。
その時、声が聞こえた。
「ゼロフリーズ――――」
びくりと、何かを感じた。
冷たい冷気が一気にその場に満ちた。私達さえ凍えそうになったその冷気は、銀色の閃光弾を瞬時に凍らせる。閃光弾は爆発した。
「冗談でしょ……!」
体が震えた。冷気のせいじゃない。私はその冷気を知っている。だから震えた!
「――――!」
キュウビモンが唸り声を上げる。彼は気付いた。彼が戦ったことがある『冷気』だと気付いたから。
――まさか、まさか……! アイスデビモン……!
私は駆けつけてきたそのデジモンを凝視する。
「違う!? 何で? どうして……シードラモンさん……!」
アイスデビモンが発する冷気と同じだと思った。けれど、シードラモンさんだった。どうして!? 間違えるはずないのに!
ドーベルモンさんはシードラモンさんが現れたので警戒し、キュウビモンから一時離れた。どちらのことも警戒しながら、唸り声を上げる。
キュウビモンもドーベルモンさんを警戒し、そして――シードラモンさんを警戒した。
「シードラモンさん……どうして……!」
私は呆然と呟くしかなかった。そうするより仕方なかった。
ところが突然、銀髪の男が私の目の前に現れた――。
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