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カフェ『皐月堂』へようこそ(レナルキ他)
続×3 及川さんち。後編 Side:Y.Oikawa
 俺達はすぐに手分けしてピピモンを探した。けれど家の周辺にはいないようだ。
 ――どこに行ったんだ!? 行くあてもないのにあいつはどこに行くんだ?
 ブラックウォーグレイモンがウォーグレイモンに連絡をしたので、DNSSも探してくれるらしい。
 俺はいらいらしながら走った。
 眠りにつく直前まではピピモンは正常だった。催眠暗示にでもかかっていたのか?
 ピピモンは何かを知っている。『砂時計』を見た? 『男の人』というんだから相手の名前も知らないはず……。
 俺は事務所へ向かった。徒歩で行ける距離にあるそこへ行き、パソコンを使おうと思った。
 事務所のあるビルへ向かう。
「何? まさか……!」
 セキュリティが解除されていた。ピピモンがいるのかもしれないとすぐに気づいた。
 『事務所の鍵が開いている。ピピモンがいるかもしれない』とだけアルケニモン、マミーモン、ブラックウォーグレイモンにメールで伝えた。
 ピピモンがもしもその『男の人』とやらに脅されて一緒にいるのなら、と予想して、エレベーターは使わずに外階段で上に行くことにした。
 ――くそっ。
 きついが文句も言っていられない。俺は黙々と階段を上った。
 事務所に着くと、そこには人間の姿のブラックウォーグレイモンがいた。
(チッ、お前は飛んできたのか!)
(まあな。そう怒るな。それより――ピピモンの他に誰かいるぞ)
(何っ!)
(デジモンの気配がする。何を話しているのかまでは解らない)
 俺はそっと中の様子を窺った。そこにはピピモンがいた――。
「ピピモンッ!」
「待て、及川っ!」
 ブラックウォーグレイモンの制止も振り切り、俺は中に駆け込んだ。
 ピピモンはそこにいた。けれども、
「何だ、これは……!」
 俺は思わず声を上げた。人間の姿のピピモンに草の蔓のようなものが絡み付いている。
「お……」
 ピピモンは俺に気づいて顔を上げた。
「おい…か……」
 草に絡みつかれて声も出せないほど弱っている変わり果てたピピモンの姿を見て、俺の頭に血が上った。助けようとして伸ばした手を、ブラックウォーグレイモンが止める。
「やめろ!」
 ブラックウォーグレイモンは俺を突き飛ばすように押し退けた。
「ぐはっ、何をするっ!」
「ピピモンに近づくな! 何者かがピピモンに寄生している!」
 俺は驚いてピピモンを凝視した。
「寄生されている!?」
 ピピモンはぐったりとして動かない。けれどもピピモンに絡みつく草はうねうねと動き続ける。ピピモンから力を吸い取って成長するように……!
 おぞましい光景に肌が粟立った。
「ピピモンッ!」
 ピピモンの背後で、草の蔓が絡みつき始め、だんだん人間の姿になっていった。
「誰だ、貴様はっ! ピピモンを放せ!」
 草で作られた人間の姿の怪物はげらげらと下品な笑い声を上げた。
「及川悠紀夫……探したぞ……」
「どうして俺の名前を知っている!」
 俺は身構えた。怪物はさらに下品な笑い声を高く上げた。
「デジモンに関する知識の深さ……デジモンを作り出せた技術力……及川悠紀夫、我が望みのために協力してもらうぞ!」
「何だと……」
 俺は拳を握り締めた。
「俺を誘き寄せるのならピピモンは関係ないだろうっ! ピピモンを帰せっ!」
 怪物はさらに笑う。
「このデジモンはお前と関係が深い……ククッ、私の言うとおりにすれば帰してやろう!」
「ピピモンを帰せ! そんな脅しに俺が乗ると思うかっ」
「脅しかどうか、試してやろうか……」
 ギリギリときしむ音がした。
「あうっ……くる…し……あぁっ」
 さらに強い力で締め付けられてピピモンが苦しそうな呻き声を上げる。
「ピピモンッ! やめろっ、ピピモンを放せ! 条件を……何でも言えばいいっ!」
 俺は吐き出すように叫んだ。
「及川っ!? 何をバカなっ!」
 ブラックウォーグレイモンが驚いて俺の肩に手を伸ばす。けれどそれを俺は叩き退けた。
「及川っ!」
「ピピモンは助ける! 俺は手段を選ばない……ピピモンを助けるっ!」
 怪物はおかしそうに下品な笑い声を響かせた。
「そうか! ――及川悠紀夫よ! 私と手を組み、このリアルワールドに移り住んだデジモン達を本来の姿に戻すのだ! 戦い、互いのデータをロードし合う、本来の姿に戻すのだ! それを……うぐっ、ぐあああっ!?」
 そこまで言うと突然、怪物が苦しみ出した。
「バカな! ピピモン、何をする!?」
 草の化け物がどんどん干からび、ひび割れていく――!
「ピピモン、貴様のどこにこんな……ち…から…が……!」
 草は枯れ、怪物は声を発しなくなった。ぼろぼろに崩れ始める。
「ピピモンッ!」
 人間の姿だったピピモンは、ぼろぼろになった怪物の体と共に床に崩れ落ちた。ピピモンの体は発光を始め、淡い光に包まれてデジモンの姿になってしまった。
「ピピモン、ピピモン……!」
 俺はピピモンの小さい体の前に膝をつくと、そっと額を撫でた。
「ピピモン……しっかりしろ、ピピモン……!」
 ピピモンはかすかに動いた。ぴくりと身動きすると、少しだけ目を開けて俺の方を見た。
「ピピモン……しっかりしてくれ……頼む……!」
 すぐに病院に連れて行こうとして、俺はピピモンの体を抱き上げようとした。けれど、出来なかった。
「なぜだっ!?」
 ピピモンの姿が消えていく。薄く溶けるように、消えていく……。
 かすかな声が聞こえた。及川さん、と……。
 ピピモンの姿は、すうっと、消えていく。消えてしまう……!
「嘘だ、やめろ……やめろ……!」
 俺は悲鳴を上げてピピモンの体を抱き上げようとした。けれどピピモンの姿は消え、俺の手には緑色の小さなガラス玉のようなものが残された。
「ピピモン……!」
 そのガラス玉に突然、音を立てて亀裂が入る。
「嘘だろう……助けてくれ……誰か、ピピモンを助けてくれ――――」
 ピピモンの命……デジコアにひびが入り、割れた。


   ◇


 あれから数日が経った。
 俺は身支度を整え、家を出た。玄関の鍵をかけて、アパートの階段を下りる。鉄で出来た階段は音を立てる。
 俺は歩みを止めた。ふと、ピピモンの幻を見た気がしたからだ。
 ピピモンはこの階段を一段飛ばしで下りたと、記憶が見せる幻。その姿は下に降りるとくるりと回る。ほら……制服のスカートが広がる。足を止めて、ピピモンの幻は俺を見上げて笑いかける。及川さん、と。
「ボス……」
 先に外に出て俺を待っていたアルケニモンの声に、俺はハッとして顔を上げた。
「あの……すみません、ボスが……ぼんやりしているようだったから……階段、危ないって思って……」
 アルケニモンはしどろもどろになりながら言う。
「別に……」
 俺はそう呟くように返事をした。
 視線を戻すと、もうあのピピモンの幻はどこにもいなかった。
 俺は再び階段を下りる。一段ずつ降りる。ピピモンのように一段飛ばしなんかしない。そんな気力は無い。
 この数日間、八方手を尽くした。無残な姿になってしまったピピモンのデジコアを抱え、DNSSの紹介で病院にも行ったが、この状態では蘇らせることは出来ないと言われた。
 それでも諦めるつもりはない。ここはリアルワールド――元々デジモンは住んでいなかった世界だ。デジモンの故郷であるデジタルワールドに連れて行けば、きっと何か手がかりがつかめるはず……。
 俺は特殊ケースを入れたショルダーバッグを背負い直す。特殊ケースの中にはピピモンのデジコアが入っている。ケースは宝飾品を運ぶ専用のものを改良して作られていて、ピピモンのデジコアを安全に運ぶことが出来る。
 アルケニモンに
「ブラックウォーグレイモンは?」
 と訊ねた。
「今朝は連絡無くて……すみません。あいつ、どこに行ったのやら……」
 とアルケニモンが返答に詰まりながら俺を見上げる。
「そうか。置いていくか……」
 俺は歩き始めた。アルケニモンとマミーモンが慌てて俺の後ろをついてくる。
「ボス、待って下さい!」
「あと五分ぐらい、待ってましょうよっ」
 俺はかまわずに地下鉄の駅までの道を真っ直ぐに歩く。角を曲がると、
「……何だ。いるじゃないか」
 と俺は呟いた。
 俺の後ろでアルケニモンとマミーモンが
「ブラックウォーグレイモン!」
「……と、あとは誰だ?」
 と声を上げる。
 ブラックウォーグレイモンが見慣れない者と一緒にそこにいた。そいつはピピモンがいつも着ていた制服と同じものを着ている。
「ピピモンと同じ学校に通っているのか……」
 近付くなりそう言った俺に、
「初めまして。私の名前はネフェルティモンと言います」
 そのデジモンの少女はそう言った。同年代の少女ならきっと憧れる、女性らしい大人びた容姿。その年にしては話し方もしっかりしていて怯まない。そして――わずかな笑みを浮かべているものの、それが俺に対する憎悪を隠していると感じ取れる。
「そうか……初めまして。俺は及川という者で……」
「知っています。私は貴方のこと怒っているんです」
「……」
 突然そう言われ、俺は言葉を失った。
「私は親友としてピピモンに助言をしました。貴方の悪名の高さを私は知っていたから、貴方達に関わると私の親友が傷つくと心配しました。きっと危険なことに巻き込まれたり、辛い目にあったりすると思いました……」
「……」
「予感が当たってしまい、私はとても悲しいです。私はピピモンを助けられなかったから……」
「それで……何だ? 俺に謝れとでも言うのか?」
 俺は自嘲の笑みを浮かべた。
「ネフェルティモン、きみの言うとおりだ。俺のためにピピモンは危険なことに巻き込まれ、俺に犯罪を起こさせないために自ら命を絶った。DNSSの奴らを含め、全てのリアルワールドに住むデジモン達に向けたサイクロモンの復讐の企みも、ピピモンは根絶した……。
 俺は何も出来なかった。何も……出来なかった……」
 ネフェルティモンは俺を見つめた。その目は真っ直ぐで、悲しげだった。俺に対しての憎悪は消えたのか……?
「傷ついたのはピピモンだけじゃないんですね。貴方もとても傷ついた……」
 突然そんなことを言われて俺はわずかに動揺した。
「今さらだ。何を……」
「ピピモンは貴方と会ってからまだ幾日も経っていないと言っていました。けれど、それは違うようですね。貴方はずっと前からピピモンを知っている……」
「……!?」
 俺はぎょっとしてネフェルティモンを見つめた。
「――ただの勘です」
 ネフェルティモンはそう言うと背を向けて歩き始めた。数歩歩き、振り返る。肩の上で切り揃えた美しい髪が揺れた。
「ついて来て下さい。貴方達をデジタルワールドへ案内します」
 俺は驚いた。アルケニモン達も驚いている。
「待て。俺達はこっそりとデジタルワールドへ行くつもりだったんだ」
「そうでしょうね。貴方達がデジタルワールドへ行く許可は下りない。それも私は調べました」
「調べた? きみはいったい……?」
「DNSSのデータベースを覗きました」
「ええっ!?」
「当たり障りのない範囲ですし、バレはしません」
 ネフェルティモンは歩きながら、駆け足で追いついた俺に言った。
「今日このリアルワールドに開くデジタルゲートのうち、ほぼノーマークの所へ案内します。そこからデジタルワールドへ行き、何としてでもピピモンを復活させて下さい」
 ネフェルティモンについて行くと、こないだウォーグレイモン、ブラックウォーグレイモン達と話をした公園に着いた。
「どうぞ」
 ネフェルティモンが指差す場所に、確かにデジタルゲートは開いていた!
 空間が歪む場所を俺達は呆気に取られて見つめる。
「こんなに近くに?」
「規模がとても小さいので、通過の際はデジタルゲートに更なる歪みが生じないように気をつけて下さい」
 と、ネフェルティモンが言った時だった。
「ネフェルティモンちゃん。ダメだ……」
 声がして、人間の姿のデジモンが現れた。
「ケルビモンさん……!」
 ネフェルティモンが驚いて呟き、身構える。
 俺も驚いた。
「ケルビモンって……三大天使の一人の?」
 ケルビモンはスーツを着た男性の姿をしている。ネフェルティモンとは知り合いらしい。
 ネフェルティモンは両手を広げ、俺達をかばうように立つ。
「待って下さい、ケルビモンさん! この人間達をデジタルワールドへ行かせて下さい!」
「及川悠紀夫、アルケニモン、マミーモン、ブラックウォーグレイモン……その四名はデジタルワールドへ行く許可が下りていない。今はDNSSと協力関係を築いているが元々は犯罪及び犯罪に近い行為を糧としているから、無断で移動すれば通常より厳しく罰せられる。
 彼らのデジタルワールドへの移動の手助けをすれば、ネフェルティモンちゃん……きみは犯罪者としてデジタルワールドへ強制的に帰されてしまうよ」
 ケルビモンはネフェルティモンに問いかける。
「解っています! それぐらい覚悟しています! ピピモンは私の一番の友達なんです……どうか見逃して下さい!」
 ネフェルティモンはケルビモンに訴える。
「おい、無茶を言うやつだな。相手は三大天使だぞ。そんな願いが通用するわけがない」
 俺の隣でブラックウォーグレイモンがぼそりと呟いた。俺も同感だった。
「ネフェルティモン、もういい……」
 俺はネフェルティモンに言った。
「でも……」
「きみがピピモンの友達なら、きみを犯罪者には出来ない」
「私が自分で決めたことです!」
「許可が下りるのに一カ月かかると言われたので、そんなに待っていられるか!と無断で行こうとしたまでだ。どうしてもというのなら一カ月待つしかないのだろう」
「一カ月だなんて、そんなに……!」
 ケルビモンが俺達へと歩み寄る。
「ネフェルティモンちゃん。それがセラフィモンの狙いだ」
 セラフィモンという名を聞いたとたん、ネフェルティモンはその眼差しに憎悪を浮かべた。
「まさか……! ピピモンがこんな目に遭ったのはあいつのせいだと言うんですか!?」
 ケルビモンは困った顔をする。
「落ち着いて聞いて……。セラフィモンはピピモンちゃんとは直接関係は無い。ただ、ネフェルティモンちゃんが無茶な行動をすることを望んでいるんだ。そうすればデジタルワールドへ戻って来るしかないからね」
 どうしてもう一人の三大天使の名前が出てくるのかと俺は考え、ふと思い出した。
「そうだ。ネフェルティモン、きみは確か……」
「うちのバカ親父と私は無関係です――!」
 ネフェルティモンが物凄い一睨みを俺へ投げつけた。
 確か三大天使のセラフィモンとオファニモンの娘だったね、と言おうとした俺は、そのまま言葉を飲み込んだ。
「そうか……」
「無関係ですっ!」
「すまなかった……」
 どうやらセラフィモンは娘からひどく嫌われているらしい。
 ネフェルティモンはキリキリと歯を噛み締めている。父親に邪魔をされた怒りが彼女に冷静さを失わせた。
「私を陥れたいのならそうすればいいのに。ピピモンは関係無いのに……」
 ケルビモンがネフェルティモンをなだめる。
「心配はいらない。まかせて……」
「え?」
「許可は下りている。使用申請したのは本日の十一時九分に開くデジタルゲート。大丈夫だ」
「本当ですか? 凄い! ケルビモンさんが許可を取ってくれるなんて……!」
 ネフェルティモンは嬉しそうだ。
「ウォーグレイモン経由で頼んで一カ月かかると言うのに、どうしてこんなに早く許可が下りるんだ?」
 俺は思わずそう訊ねた。何でこうも違うのかと訊ねずにはいられない。
 ケルビモンは頷く。
「『デジタルワールドのどこへ行くのかは未定』だったから。行く先が解っているのなら許可はすぐ下りる」
「行く先って、それはつまりピピモンを元に戻すことが出来る場所か? 知っているのか? それはどこだ!」
 俺が詰め寄ると、ケルビモンは微笑む。
「知り合いにデジコアの再生を専門でやっているデジモンがいる。そこに行けばいい。紹介状は書いたので受け取って……」
「そうなのか……良かった……」
 全身から力が抜けそうになり、不覚にも涙がこぼれそうになった。ケルビモンが差し出した一通の封筒を
「感謝する」
 と礼を言って受け取った。ジャケットの内ポケットにしまう。
 ケルビモンはアルケニモンを見て、「ただ……」と言葉を濁した。
「アルケニモン。貴女はちょっと……」
 そう言われ、アルケニモンはふて腐れた顔になった。
「どうして私はダメなの!」
 ケルビモンは遠慮がちな顔で
「女性型でそのうえ美人のデジモンはちょっと……」
 と言った。
「あら、美人だなんて……お世辞はやめてちょうだい」
 アルケニモンはポッと顔を赤らめる。
 マミーモンが首を傾げる。
「どうして美人はダメなんだ?」
 ケルビモンはうーむ……と、ちょっと難しそうな顔をした。
「嫉妬深い恋人がいてね……」
「そうなの? へえ……?」
「誤解を与えて毒殺されないようにくれぐれも気をつけてね」
 ケルビモンに困った顔でそう言われ、俺達は思わず「どんな恐ろしい恋人だ!?」と顔を見合わせた。
 ともかく俺達はデジタルゲートが開く予定の場所へ向かった。あと一時間程度しかないので急いだ。
 そこは、
「本当にここでいいのか?」
 なんとDNSSの『関東支部』――!
 警備のデジモン達が胡散臭そうな顔で俺達を見つめ、けれどもケルビモンとネフェルティモンも一緒にいるのですんなりと中庭に案内してくれた。
「こんなところに……」
 それは先ほど公園で見た自然発生したものではなく、デジモンの手によって作ったものだ。俺達全員が通過するのも簡単だろう。ここまでの許可が下りるとは、さすが三大天使……。
「どうしてここまで俺達に協力する?」
 俺はケルビモンに訊ねた。ケルビモンは
「ピピモンちゃんとはあいさつ程度しか話をしたことはないけれど、良い子だった。ピピモンちゃんが助けたいと思ったのだから、貴方は過去にどんな罪を犯しているとしても、本当は良い人間のはずだ」
 と俺に言った。まさかそんなことをさらりと言われるとは思わなかったので俺は戸惑う。
「別に……俺は……」
 それだけ言うのが精一杯で、後は無言で頭を下げた。アルケニモンやマミーモン達も慌てて頭を下げたようだった。
 顔を上げる時にふと横を見ると、ブラックウォーグレイモンまで頭を下げているので驚いた。
「なんだ、お前まで……」
「俺だってけじめをつける時はつける」
 そうブラックウォーグレイモンは言った。
 俺達はデジタルゲートに入った。俺は一度振り返り、ケルビモンとネフェルティモンへ片手を上げ、
「世話になった。行って来る」
 と告げた。もう片方の手はそっと、大切なピピモンのデジコアの入ったショルダーバッグに添えていた。


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《あとがき》
 ひとまずここまで、です。このエピソードの続きを書くのはずっと後になると思います。
 及川さん達が別の世界から来たとかうんぬんは私の心の中だけの設定だったのですが、隠しているとだんだんつじつまが合わない感じにもなってきましたので、思い切って書きました。
 ピピモン好きだった人には本当にごめんなさい。復活出来るように応援してあげて下さい。
 で、及川さん達がケルビモンから紹介してもらったデジモンっていうのは、 今回は書きませんでしたが読んで下さっている方にはバレバレですね(笑)

 アルケニモンについては裏設定がいろいろあります。お楽しみにv
 読んでいただきありがとうございましたv

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