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それでも愛しい人よ



頭の中にも、瞳の中にも鮮やかに染み付いた愛しい面影。
お前に出逢ってから弱い自分を知って、強くなろうと願うようになったんだ。



抱えきれないほどのいろいろな痛みや苦しみをさらけ出せず、押し殺せばするだけ届かないお前への想いが募った。



お前と離れ離れになって迎える……高2の冬。
流れる時間に取り残されたような感覚は日に日に増していった。その早さに追い付いていかない。


朝から突き刺すような寒さを感じれば、下校時間になれば雪が降り始めてうっすらと道が白くなっていた。
啓吾や水色たちの誘いを断って、一人マフラーに顔を埋めて、身体を縮こませて歩いていた。



白いそれを見て無意識だったけど、ぽつりと言葉が漏れた。



「ルキア……」



あいつの斬魄刀は氷雪系だったっけ……。すべてが純白の綺麗な刀。
あいつに良く似合うと思った。
だからだろうか、思わず漏れたのは。



すると…………。






「……………?!」




雪の降り方が強くなり風に吹かれて踊るようだと、目に写った。



そして、俺の肩に静かに舞い降りた。
その瞬間、ルキアのそっと微笑んだような顔が見えたんだ。


手で触れようとしたけど、消えてしまうからそのままにした。
傘を外して、ひとり目を閉じて降りしきる雪の中、お前を感じた。






この雪や舞い上がった風は遠く・遠すぎる……尸魂界のお前の元へ辿って行くのだろうか?







お前が望むのなら願うのなら、この身を捧げる。
頼りないと言うかも知れないけど、お前に降りかかる悲しみも苦しみを俺に預けてくれ。

暖かい春を迎えるように、
お前に触れて抱き締め合って、
二人離れないように溶け合うことが出来るのならば……。
他に何も……何もいらない。







もう逢うことも出来ないかもしれない、
触れることも出来ないかもしれない、
声も聞こえないかもしれない、
姿も見ることが出来ないかもしれない、


……永遠に叶わないかもしれない。





……………それでも会いたくて仕方ない、
想わずにはいられない、


光(ルキア)を、


雪に降られて感じた…………。




『……ルキア、
…………それでも愛しい人』






*Fin*

got it on3/25
thanks for季結サン

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