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愛の謳
「ぎゅっ、してくれ…」
「はぁ?」


ベッドの上で足を伸ばし座った状態で雑誌を呼んでいた一護に頼み事を一つした。


「但し、ヤラしい事は禁止だ!」
「…………ただ抱き締めるだけってこと?」


一護の言葉にコクッと頷く。
そう、ただ一護に抱き締めて貰いたい。


「ほら………」
「んっ……」


溜息を一つした後、雑誌を適当に置いて一護は腕を広げてくれた。
そのまま腕の中に収まるように抱き付いた。
一護の左胸に顔を寄せ、横抱きの状態が一番しっくりくる。



一護、知っておるか?
私が左胸に顔を寄せる理由。



トクトク……



一護の命のざわめきが聞こえてくる。
彼が生きている音。


彼の逞しい腕に、
暖かい温もりに、
包まれながらこの音に
耳を傾けたいからだ。




「何かあったのか?」
「……………何も無い」
「ウソツケ」
「嘘など吐いておらん」



顔をさらに胸に押しつけ、一護の服をぎゅっと握り締める。



「意地っ張り…」
「意地など張っておらん…!!」



強い口調で一言言い返し、胸に埋まる。
……これでは、一護の言っている事を肯定しているようなものか?







一護の言うとおり、
“何か”があったのだ。



大学生になったから、
高校時代とは違う人付き合いがあるのは分かる。

一護を疑うわけではないが、同級生やゼミの先輩だという綺麗な女性と歩いている姿を見るのは気分の良いものでは無い。

外見から近付きにくい・怖そうだと思われるが、
実際は、真面目で面倒見が良く・優しい彼は大変モテるのだと、石田から聞いた。
(同じ大学で同じゼミだそうだ)




性格も
それから体付きも
女性らしく無い私。
そんな光景を見ると必ず
いつか一護が愛想尽かし、離れてしまうのではと考えてしまう。





そんな自分が嫌で
一護はそんなこと無いって思いたくて、


トクトク―


彼の腕の中に収まり、音を聞くのだ。
―心のモヤモヤを消したいから―



さらに、一護にしがみ付く。






「………ルキア?」
「……好き、一護が好きだ。………何もかもが大切で独り占めしたいくらい」








本当は言葉にするつもりもなかったけど、
ついに今日言ってしまった。


恐る恐る見上げると………。




「バカッ/////」



赤面した顔が見えた。



そして、



「俺も同じだ、ルキアの総てを独り占めしたい」



一護が額にキスをしてくれた。



「このまま、ずっと俺の腕の中にいて欲しい」



頬に大きい手を添えてくれる。



「特に男共にジロジロ見られるのは我慢ならない」



自分と同じような事を思ってくれていたことが嬉しい。







今日くらい、いいだろうか………。


「一護…」
「ん?」
「明日、休みだったな」
「そうだけど?」


たまには……。


「 」


私から……。


「禁止じゃなかったのか?」
「//////ウルサイ」









お互いを独り占めできる行為をしようか……。
独占欲が強いって?
だって、
この存在【一護】が、
何よりも大切だから……。





一緒に命のざわめきを聞き合って、

チョコレートのように

甘い甘い……

二人だけの【愛の謳】を
歌おうか……。




*Fin*

got it on9/14
thanks for季結サン

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あきゅろす。
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