短編小説 6 パチパチパチパチ… 線香花火は俺が思うに一番手持ち花火の中で面白いと思う。どれだけ凄い打ち上げ花火よりも、どれだけ凄い手持ち花火よりも、火は一生懸命燃えている。 小さい火の玉をパチパチ言わせながら… 美「春樹…ありがとう」 春「えっ…何が?」 美「何がって…その……花火」 春「あぁ…あれくらいどうってことないよ。まぁ確かに一番高かったけど」 いやマジ本当は財布が泣いていて大丈夫じゃないけど… 美「うぅん…ただ一緒に花火が出来てよ。私小さい頃から両親は仕事で忙しくて、中々花火なんてやれなかったの。だからこうして一緒に花火が出来て本当に嬉しいの」 春「美幸……」 美「ありがとう…」 春「みゆっ……ん!?」 美「ん…ッ…!」 気が付けば俺と美幸の距離はなく、互いの唇がくっつきあっていた。 キス… 俺のファーストキス… お前にだったら…性格の悪いお前でも、あんなに綺麗で可愛い顔をしていた女の子なら… くれてやっても惜しいとは思わなかった。 なんだろう… 短い間だったが、俺は美幸に惚れちまった。 [前へ][次へ] [戻る] |