Shufful Lover! 3 それを見て、アキラを除く全員が感嘆の声を上げる。 「美味そー!」「凄ぇな」「流石っすね」 と、そこで栄純が、ポカンと隣を見つめる。同様の表情で、鳴も斜向かいを凝視した。 視線を感じて顔を向けたのは、舜臣。 「……何か、俺の顔についてるか?」 「いや、違うけど……それ、何だ?」 舜臣の問いに、栄純が恐る恐るといった感じで、彼の目の前を指差した。 舜臣の前には、深い器に盛られた斜切りになっている魚肉ソーセージ。 「見て判らないのか?」 「いやいや、判るんだけどさ!何で山盛りのそれ!?」 真顔で首を傾げる舜臣に、鳴がツッコミを入れる。 それに合わせて、栄純も何度も頷く。 気持ちは分かる、とばかりに視線を交わし合う雅功、アキラ、御幸。 しかし舜臣は、意味が分からないとばかりに、淡々と答える。 「俺の好物だ。アキラが気を使って用意してくれたんだが、それがどうかしたか?」 ――何はともあれ一頻り騒いだ所で、御幸が立ち上がり、 「さて、料理と酒が揃ったんで、まずは乾杯と行きましょうか」 と、缶ビールを掲げる。 「何で一也が仕切ってんのさー?」 「だったらお前やれよ。つか誰かが仕切んないと、進まないだろが」 鳴の野次に、御幸が眉を顰めて言い返す。 そこへ栄純が一言。 「御幸で良いんじゃん?その方が早いし」 確かに、と頷いたのは、意図はそれぞれだが静観していた他の3人。 鳴は口を挟みたかっただけなのか、直ぐに黙ってしまったので、御幸は改めて缶を掲げた。 倣う様に全員が缶を掲げ、御幸の乾杯の声に続けて全員が復唱し、週一の飲み会が始まった。 「ありゃ?!酒、無くなっちまった!」 宴もたけなわの所で、冷蔵庫を開けた御幸が声を上げた。 始めは満杯だった冷蔵庫は、食材や調味料などを残して酒はすっからかんになっている。 よくよく考えてみれば、栄純以外は量に差はあれど、イケる口なのだ。 冷蔵庫の容積を考えて、見積数量を最大ではなく最小にしたのが原因だろうな、と買い出し組は思った。 「皆、まだ飲めるっすよね。俺、買って来ます」 と、御幸。すると舜臣が、 「ならば、俺も行こう。人手があった方が良いだろう」 と、立ち上がった。 さんきゅ、と答えながら、御幸はこっそりと、 (出来れば、沢村に付いて来て貰いたかったけど) と、ベッドに視線をやった。 そこには、丸まって完全に寝入っている栄純がいた。 30分程前に、座ったまま舟を漕いでいたので、アキラが雅功に頼んでベッドを借りたのだ。 寝顔を見れたのは嬉しいんだけど、と御幸は小さく溜息を吐いて、舜臣と共に玄関へと向かった。 同時にアキラが、 「じゃあ俺は、空いてる皿を片付けちまうな。で、追加で何か作るよ」 と、空になった皿を集め始める。料理が残り僅かの皿は、乗っている物を別の皿に移して片付ける。 それを手伝おうとした雅功を、アキラは制した。 「原田は良いって。場所の提供してんだし。成宮の面倒見てろよ」 最後は余計、と鳴は内心ムッとしたが、雅功と2人っきりになるチャンスと捉えて、唇を尖らせるだけに留めた。 アキラはそれに気付かない様子で、皿運びに数回キッチンを往復すると、部屋とキッチンを区分する引き戸を閉めた。 引き戸が閉まる音に、栄純の意識が反応した。 と言っても急に覚醒した訳ではなく、深く微睡んでいる状態であるが。 [*前へ][次へ#] |