Shufful Lover! 4 やっぱりな、とアキラは苦笑する。 彼の肩に頭を乗せて、栄純は既に寝息を立てていた。 あれこれと話し合い、栄純の遠征の事も含めて、最終的にアキラの家でDVD鑑賞をする事になった。 アキラがピックアップした数枚のDVDから栄純が選んだのは、博物館の展示物が動いてしまうというコメディファンタジーで、栄純らしいな、とアキラは思った。 が、試合と遠征の疲れからか、内容が半分も行かない内に、先程の状態となってしまった訳で。 余りに気持ち良さそうな寝顔をしているので、 (このまま起こさないでおくか) と、アキラは判断して、肩からソッと栄純の頭を持ち上げ、自分は座っていたソファから降りた。 そして栄純の頭をソファへゆっくりと降ろし、下半身をソファに持ち上げ、仰向けに寝かせてやると、ソファの背凭れに置いていたブランケットを掛けてやった。 栄純が目をうっすらと開いた時、部屋が橙色に染まっていたので、夕方だと気付いた。 そして次の瞬間、勢い良く飛び起きる。 同時にアキラが、部屋に顔を出した。 「ああ、起きたのか」 「あああアキラさん、すいません!おれ寝ちゃって!?」 あわあわとパニックになっている栄純に、アキラは「良いから良いから」と笑い掛ける。 「疲れが溜まってたんだろ。DVDなら貸してやるから」 そう言いながら、アキラはDVDのケースを小さな紙袋に入れて、ソファに座り直した栄純に渡した。 栄純はそれを受け取りながらも、 「けど、折角アキラさんと会えたのに……」 と、シュンとした表情になる。 今日はアキラが夜からバイトなので、夕方までしか一緒にいられないというのに。 するとアキラは屈んで、手を伸ばして栄純の頭を優しく撫でる。 「あー……そんな顔すんなよ。また会えば良いんだし」 「でもおれ、明日からまた試合だし。アキラさんも忙しいみたいだし」 「ま、確かに。だけど会えない訳じゃないだろ?俺も時間を作るからさ。会えそうなら会おうぜ」 な?と顔を覗き込むと、栄純は素直に頷く。 アキラは微笑んでみせ、もう一度頭を撫でてやると、勢いをつけて立ち上がった。 「さて、そろそろ出掛けっか。駅まで送ってくから、準備しろよ」 「はいっす!あの、顔洗って来ます!」 そう言って栄純は、バタバタと洗面所へと向かう。 ドアの閉まる音を聞いてから、アキラは大きく溜息を吐いてしゃがみこんだ。 「……さっきの台詞、天然で言ってんだろうな。あー、ヤバかった」 あんな顔で、折角会えたのに、だなんて。 振られても振られても、栄純を追い掛ける御幸の気持ちが何となく分かってしまい、アキラはもう一度溜息を吐いた。 それと同時に、これがシャッフルの効果なんだろうな、と冷静に分析もしていた。 良く知らない相手でも、仮だが恋人というカテゴリーに入るだけで、相手の違う一面に触れられる。 その触れた一面が、自分にとって良い意味で琴線に触れたとしたら。 もしかしたら予想以上にヤバいゲームなんじゃないだろうか?と、アキラは今更ながら感じていた。 [*前へ][次へ#] |