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死神とダンス♪
32.解熱剤ですぅ♪

 お粥を食べ終わったら、次はお薬の時間ですぅ〜♪←死神風。

 でも、俺としたらもういい加減薬は嫌だ!←病院や自宅静養中、さんざん飲まされたから。

 しかも、このくらいの熱なら今日寝てれば治るし………と、言う訳で、雪次に「寝てれば治るから、薬はいらない」と言うと。

 雪次は、おもむろに怪しげな物体をごつい指に挟み俺の目の前に突き付け、いつもの無表情で質問してくる。

「飲み薬で熱を下げるのと、この目の前にある座薬で熱を下げる。どっちがいい?」

 表情が引きつりました…。

 座薬はもちろん全拒否させていただきますが、飲み薬も杉崎君の身体になってからさんざん飲まされて嫌だ。

「雪次、目の前の怪しげな物体もやだけど、飲み薬もいらない。寝てれば平気だ」



 さて、ここで皆様に問題。

 杉崎君、今は俺の『オカン』を務める雪次が、俺のそんな言葉に折れるでしょうか?

 答え。………下記↓を読んで確かめろ!!



「待て待て待て待て待て!!雪次、落ち着け!!」

 俺は今、人生最大…いや、2番目(1番目は自分が死んだこと)に経験する危機に陥っている。

 雪次は俺の薬拒否発言を聞くと、俺が寝ているベッド(2段ベッドの上)に乗り上げ、どうやったーーー!!と、言うくらいの素早さでパジャマのズボン+パンツを引き下げ、かつ俺の両足を赤ん坊のように持ち上げ、お尻に謎の物体(座薬)を挿そうとしていた。

 雪次の目の前には、俺の息子(杉崎君のとも言う)がさらけ出され、尻には今にも座薬が突っ込まれそうで………何、この体制!!

 俺の動揺を知っているはずなのに、雪次はかまわず俺の尻に座薬を入口に押し付ける。もう、俺限界ですぅーーー!!

「雪次ぃーーー!!飲み薬を飲むから、それだけはご勘弁をぉーーー!!」

 部屋中に俺の悲鳴が木霊した。

 もしかしたら、この絶叫は廊下まで漏れているかも知れない…。



 シクシク。俺は何かを失った………絶対、確実に何かを失った………。

 素で泣きながら、熱を下げるべく『飲み薬』を大人しく飲む。

 その際、当たり前だが、雪次は監視員のように俺が確実に薬を飲むのをじっと見ていた。

 あながち、【腐男子友の会】が雪次を○○○時に『鬼畜キャラ』に様変わりすると評していたのは、間違えでないかも知れない。

 機会があったら、先ほどの恨みを込めて古市に教えて………いや、あいつを萌えさせるだけなので止めておこう。



 俺は熱が下がらないので学校はお休みだが、雪次は健康体であるので当然休みではない。

「雪次、ほらいくら学校が近いと言っても、もう寮から出ないと遅刻するぞ」

 俺の言葉に雪次は、「走る」と簡潔に言い、俺に布団を掛けたり、俺が寝て目覚めた時のためにスポーツドリンクをベッドサイドに置いたり、甲斐甲斐しく看病してくれる。

 薬の影響か、うつらうつらする意識で、雪次が鞄を手に取るのが見える。

「雪次、色々ありがとう。それにしても、座薬まで杉崎君にしてあげていたなんて、雪次の『オカン』ぶりは凄いな………スピー」

 看病の感謝と『オカン』も大変だなの意味を込めて言った言葉は、途中で眠ってしまったため、雪次の返事を聞くことはできなかった。



「馬鹿…こんなこと、しのぶにしている訳ないだろ…」

 雪次のこんな呟きは、ぐっすり眠る俺には聞こえていない…。


[後退〜♪][前進〜♪]

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あきゅろす。
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