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死神とダンス♪
90.死神の帰還〜♪

「それじゃ、帰るよぉ〜、しのぶクン改め、弟子のしのぶぅ〜」

「はい!今行きます!!」

 こんなふざけた口調で呼ばれたにも関わらず、元気に杉崎君は返事し、子犬のようにタッタタ、と駆け寄って来る。

 ちなみにその間、数回コケています。

 俺と雪次もこれが、死神と杉崎君とのお別れと感じているので、側に寄る。

「忍クンも雪次クンもわかっていると思うけどぉ〜、これで、私達と会うのは最後になりますぅ〜。今度、会う時は死んで魂を狩る時だからぁ〜、その時はよろしくねぇ〜」

 いえ、よろしくしたくありません。

 そんなことを俺とたぶん雪次も思っていると、死神の隣にいる杉崎君が。

「師匠、ダメです!雪と松下君の魂を狩るのは、僕です!」

「えぇ〜!!でもぉ〜、しのぶが魂をちゃんと狩れる死神になるのは、うぅ〜〜〜んっと、先になるよぉ〜」

「頑張ります!!根性で雪と松下君が逝く時までには、1級死神になって人の魂を狩れる死神になります!!」

 杉崎君、まだ死神の弟子になったばかりなのに、ずいぶん立派なお考えで………。

 隣の雪次を見ると、立派になった息子(?)に感動している様にグッと握り拳を作り、「頑張れ、しのぶ」と、呟いていた。

 死神、これでは、杉崎君に焼きもちを焼くのも馬鹿クサいかも知れない。

 実際、雪次が杉崎君の世話をしているところを見たことがなかったが、これは『オカン』にしか見えないな。



「そうだ。死神、さっき閻魔に扇子と降格………あれって…」

 ダメじゃん俺、そのことのお礼を言ってない!!

 慌てて、頭を下げようとすると、死神は大げさに手を振って、「しのぶクンには、私ぃ〜、お世話になったからぁ〜」と、お礼はいらないと言われる。

 世話?って………間違って魂を狩られちゃったこと?

 でも、それはそれで俺にとっては家族に迷惑かけることにならなかったし、雪次にこうして出会えたことだし、全部チャラだ。

 あと、なんか俺が死神にしたことあったか?頭を捻って考えていると、死神からは。

「う〜〜〜ん、本当の理由は別にあってねぇ〜。………忍クンが死んでこっちに来たら、教えるよぉ〜ちょっと、長い話になるしねぇ〜」

 ネタ明かしは、死後………その時は、また死神にもきっと杉崎君にも会える。

 そう思うと、その時にこの話しで盛り上がるのもいいかなっと思い、「わかった。お礼はその話を聞いて、するかどうか決める」と、答えておいた。



 そのあと、杉崎君が大きく手を振り、死神がヒラヒラ手を振ると、あっけなく消えてしまう2人。

 俺達も同じように手を振って見送ったのだが、こうもあっさり姿を消されると、さよならの余韻も感じられない。

 それでも、隣の雪次の顔を伺えば、穏やかに微笑んでいて…。

「雪次、杉崎君のこと心配じゃないの?」

「さっき、『頑張る』と、言っていたし、信用のおける死神が側にいるんだ、大丈夫だろ」

 いやいや、その死神が胡散臭いです…と、思っていたけど、雪次が、そう納得しているんなら、これでいいんだよな。


[後退〜♪][前進〜♪]

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あきゅろす。
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