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死神とダンス♪
89.死神の素ぅ♪

「死神…えっと、ゴウエンだっけ?素がそれなの?」

 さっきから、以前と変わり過ぎの死神に違和感ありあり過ぎて、思わず聞いてしまうが、死神の次の態度で、どっちが死神の素なのかわからなくなる。

「まっさかぁ〜、なんかぁ〜、怒っちゃうとぉ〜、性格変わっちゃうのよ〜、私ぃ〜。本来は、こっちだよぉ〜」

「………」

 さっきまでキリッとしていたのに………クネクネさせて踊っている、死神。

 まぁ、こっちのほうが俺としては慣れ親しんでしまったため、ホッとはするけど、これじゃ、さっきの替わりよう『烈火』なんてあだ名付けられるのは、仕方がないんじゃないかな。

 ついでに、死神からは自分達を名前で呼ぶと、死神を呼びよせることになるから名前で呼ぶのは止めたほうがいいっと、忠告される。

 早く言え!!そんな重要なこと!雪次にあとで伝えておこう。



 少し離れたところには、雪次と杉崎君がならやらにこやかに話をしている。

 雪次と杉崎君はお互い笑みを浮かべ、肩を叩いていたりして………雪次は杉崎君にちゃんと会えて嬉しそう。

「大丈夫だよぉ〜、雪次クンは、忍クン一筋だからぁ〜。あれは、一種のスキンシップぅ〜。雪次クン、ほんとしのぶクンの『オカン』だねぇ〜」

「………うるさい。知ってっる!」

 ちょっと、焼きもちを焼いたなんて、知られなくないのに………鋭い死神なんて、嫌いだ。

 死神は俺を見て、なぜか穏やかに微笑んでいた。

「そう言えば、死神、俺は倉吉に自分の正体を明かしたけど、それはどうするんだ?一応、このままだと倉吉の口から、色々な人にバレる恐れがあるんだけど…」

 まさか、バラされたら地獄行き………なんて、ことにはならないと思うが、死神を睨みつけるようにしてしまうと、死神からは情けない声で、「ぎゃいぃぃん、睨まないでよぉ〜、忍クン。倉吉のことなら、大丈夫だからぁ〜」なんてこと言われて、思わず首を傾げる。

 理由を聞くと、雪次が俺に告白した段階で、俺の身体と魂は完全に融合し、もうこの身体は俺のものになっていて、死神でもそう簡単に閻魔様の命令を無視して、魂を狩ることはできないそうだ。

 あとは、倉吉に何を言われても、あの時のことは『知らぬ存ぜぬ』を突き通して、しらばっくれていればいいとのこと。

 俺はもちろん、それを二つ返事で了承した。



 それでは、なぜ俺はあの迷惑極まりない死神2人に魂を取られそうになったのか?と、質問してみると。

 それは、まだ2人の死神にその事実が伝わっていなかったからだと言うことと、その前に倉吉にバラすっという罪を俺が犯していたため、少々やっかいな事態になっていたらしい。

 今更だが、こんなに迷惑をかけるのなら、早く雪次に告白して………告白してもらえば良かった…。

 申し訳ない思いで、今回ばかりは死神に素直に謝ると、死神は笑って許してくれて、一言「人の心は迷うことが多いからねぇ〜」と、少し寂しそうに笑っていた。


[後退〜♪][前進〜♪]

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