死神とダンス♪
87.天使が降りてきましたぁ♪
「ゴウエン様、準備ができました!」
何十回目かの攻撃をゴウエンが交わすと、そこに声が響き渡り、空(天)から天使が降りて来た。
ハニーブラウンの髪、紫の目、小柄で色白。彫はあまり深くないので日本人顔だが、明らかに外国の血が混じっている容姿。
「杉崎君!!」「忍!!」
俺と雪次が同時に叫ぶと、杉崎君はこんな緊迫した雰囲気の中、何事もないようにニッコリ微笑んだ。
まるで、これで心配いらないよっと、言われている気分になり、先ほどまで、生きるか、地獄行きかと、ドキドキしていた心臓の音が静かになる。
ゴウエンは、ヒョウリとヨウスケにニタリッと人の悪い笑みを浮かべ、「これより、閻魔に採決を求める!」と、冬の寒さに負けない声で宣言する。
これに驚いたのは、ヒョウリとヨウスケ。
そんな権利お前にはない!など、喚き立てるが、そんなことお構いなしにゴウエンは、空(天)に響くように声を上げる。
「松下忍の魂をこの地に留めることを良しとするように願う。先ほどの【契約書】の違反については…」
ゴウエンは、そこで杉崎君の顔を見る。杉崎君はそれに力強く頷き。
「僕の残りの罪状2つをなしにする条件を返還し、それを松下君の違反と相殺して下さい!!」
「えっ!?」
俺の驚きの声を上げると当時に、1枚の紙が空(天)から降ってくる。
その紙をキャッチした、ヒョウリは口元を緩め「『却下』」と、ポツリッと呟く。
ヒョウリが読み上げたものが、誰が書いていたのか聞かずともわかってしまう。………ずいぶん、簡潔だな…閻魔様よ。
チッ!!
ゴウエンは、大きな舌打ちをしたあと「業突張りめ!!」と、右手に持っている大鎌と左手に持っている鉄扇を宙に投げる。
「鉄扇『藤香(ふじか)』を閻魔に譲り、特級死神、ゴウエンから1つ降格とし、1級死神、ゴウエンとする。………オイ、閻魔これで忍は、この地で生きられるだろ!!」
ゴウエンの言葉にヒラリッとまた、空(天)から紙が降りてきて………今度はその紙をゴウエンがひったくる。
ゴウエンは、自分で確認してから、俺達に見せるように紙を広げて見せる。紙には『了承』の文字………。
俺はこの世に残ることができたのか?
ヘナヘナヘナっと、身体から力が抜けて、雪次に受け止めてもらう。
ゴウエンと杉崎君は、お互いを見て笑い、ヒョウリとヨウスケは顔を歪めていたけど………今の俺には展開が早すぎて、嬉しいと思うよりも先に、この状況をちゃんと説明して欲しいなんて、思っていた。
[後退〜♪][前進〜♪]
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