死神とダンス♪
86.『駒』ぁ♪
俺の頭上で攻防戦は続く。
てか、俺逃げてもいいだろうか?なんて、思うのだけど、前面にヒョウリの目が鋭く光り、俺を逃がさない………なんて、言っている気がして全く身体が動けなくなっていた。
俺はまるで、蛇に睨まれた蛙状態。
そんな状態に痺れを切らしたのは、ヒョウリ。
大鎌をいったん引き、サングラスを投げ捨てると、弟子に指示を送る。
「ヨウスケ、鉄糸で松下忍の魂を引きずり出せ!!」
「は、はい!!」
突然声を掛けられたヨウスケは、一瞬動揺するものの雪次から身体を離し、自分の鎌を糸に変化させた。
「「!?」」「チッ!」
俺と雪次は、突然鎌が糸に変わったことに驚いたが、ゴウエンは何か違うことを思ったのか、俺を突き飛ばす。
シュュュュルゥゥゥゥ!
「えっ?」
突き飛ばされ俺がいた場所に鉄糸むなしく空を切る………はずだったのに、風もないのに方向が変わり、俺の身体に巻き付いた。
いや、巻き付いたというか………ヤバイ!この感覚は、前に感じたことがある。
身体を拒絶した時に感じた………魂が身体を出ようとする感覚………痛い!!気が遠くなる…。
その時、薄れる意識の中、ゴウエンの切羽詰まった声が聞こえた。
「雪次、こっちに来い!!急げ!!」
遠のく意識の中、抱きしめられているのか、ふと、身体かに熱を感じる。
「いいか、そのまま抱きかかえていろ!!」
そんな言葉を最後に俺は意識を失った。
しばらくして目を開けると、心配そうな雪次の顔。
「雪次?」
「あぁ、大丈夫か?」
大丈夫?………あー、そう言えば、魂を持っていかれそうだったんだ。
あれ?それじゃ、そのあとどうしたんだ?
カンッッ!キンッッッ!!………ドカッッッ!!
妙な音が聞こえてくる。
身体を起こして、音が聞こえてくる上空を見上げると、真っ黒な暗闇に銀色の月………そして、3人の死神。
もしかして、俺が倒れている時からずっと戦っていたのか?
「雪次、あれから…」
「忍が倒れてから、30分はこうして戦っている。死神…ゴウエンがオレに言った『この場で駒が一つ足りない。そいつが来るまでもう少し粘る』と…」
「『駒』って?」
俺の質問に雪次もそれがモノを指すのか、人を指すのかわからないと首を振る。
ゴウエンは2人を相手に戦っている。大鎌と扇子を使って。
扇子は、いつもの白扇子ではなく、1m位の大きさで藤棚が描かれた美しいものだが、どうも「キンッ!」とか、「カンッ!」と、音がすることから、鉄扇のようだ。
死神に大鎌はなんとなくわかるが、なぜに鉄扇………。
しかも、さっき死神の弟子であるヨウスケは、1m弱の鎌を鉄糸に変えてしまった。
死神に大鎌………イメージ通りって決めつけちゃダメだな…。
しかし、ここで雪次から、あの鉄扇は、白扇子から変わったと聞いて………死神って何でもありなのか…っと、思ってしまった。
今なら、大鎌から猫でも犬でも出てきても、驚かなぞーっと、思っていると、空(天)から天使が降りて来て………俺と雪次を驚かせることになる。
[後退〜♪][前進〜♪]
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