死神とダンス♪
85.死神の名前ぇ♪
「覚悟は………いえ、これ以上いりませんね」
シャッキッと大鎌を振り下ろすグラサン死神。
ヤバい!今度こそ、最期だ。
目を閉じ、頭を抱えるようにすると、そのまま雪次が俺を覆いかぶさるように抱きしめる。
「なっ、雪次、離れろ!?」
さすがに、俺は驚いて目を見開き、雪次の身体を離そうとジタバタ暴れ出す。
しかし、そんな俺の動揺をよそに、グラサン死神はニタリッと笑い、短く「ヨウスケ、行け!」と、命じる。
ヨウスケ?誰だっと、考える間もなく、グラサン死神のうしろに控えていた弟子が素早い動きで、雪次の横っ腹を蹴りつける。
ドッカッーーー!!
蹴りが雪次の横っ腹にきれいにめり込み、俺の1mくらい離れた場所に倒れる。
蹴りを入れたのは、ヨウスケ………死神の弟子の名前のようだ。死神に名前があったんだな…。
密かに七三死神とグラサン死神の名前が知りたい…なんて、思ったりしてみて、と、ここで只今の俺の状況を思い出す。
首筋に大鎌の刃を突き付けられた感触がしたので…。
ツッーーーと俺の首筋に冷たい刃が撫で、ピクリっと身体を震わすと、グラサン死神は、「このままジワリッと逝くのと鎌を振りかぶって一気に………どちらにします?」と、質問を俺に投げかけてきた。
首を動かさないように、目線だけで雪次の姿を追えば、そこには倒れている雪次とヨウスケと呼ばれる死神が鎌を突き付けている状態で、とてもではないが俺を助けることはできないだろう。
俺の選択は、「振りかぶって一気にお願いします」………そう、言うしかないよね。
おっーーーと、グラサン死神、ここで大きく大鎌を振りかぶり………一応、実況中継してみたけど、刃物の光って結構輝くものなんだね………。
今度は覚悟ができたというか、なぜか目が離せず、振り下げられる大鎌を凝視してしまう。
ヒュュュュッッッーーー!!
やけに振り下げられる音が長い気がする………。あぁ、これで終わったな…。
ガッッッッツッッッッ!!!
ヒヤリ………額から妙な汗が流れる。
上を見ると、大釜が2本交差するように絡み合っていて、俺に振り下げたであろうグラサン死神の大鎌が邪魔をされたことにより、ピリッと震えていた。
グラサン死神の大鎌を邪魔しているのは………いつの間にか、俺の真後ろに立っているいつもの七三分けをした黒スーツの死神。
「烈火のゴウエン!………戻ってこられましたか…」
「よくもまぁ、俺様がいないうちに面白い展開にしてくれちゃって。覚悟はできてんだろうな、凍土のヒョウリ」
いつものように、のん気なしゃべり方じゃない死神。
違和感があるが………髪型はいつもの七三分けで、いつもの死神だと確認できると、助かったっと感じる同時に力が抜ける。
さっきの七三死神とグラサン死神の話しを総合すると………七三死神の名前は、『烈火のゴウエン』、グラサン死神が、『凍土のヒョウリ』なのだろう。
………ネーミングセンスってなくない?てか、これも、もしかしたら、閻魔様が考えたんだろうか?
頭上でギリギリッと2本の大鎌が、俺に振り落すためとそれを止めようとする緊迫した風景なのだが、えっと、七三死神…ゴウエンが、俺の顔を見て…。
「『ゴウエン』は元々俺が人間だった時の名だ。『烈火』は、俺様を皮肉ったアイツがつけたあだ名みたいなものだ」
なるほど、今の様子からたぶん、ゴウエンは怒らすと手が付けられないような感じなのだろうか?と、すると、『凍土』と付けられたヒョウリは………冷血漢とかそんなところだろうな。←今なら確信して言えます。
[後退〜♪][前進〜♪]
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