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死神とダンス♪
84.悪趣味ですぅ♪

 渡されたものは、『名刺』………。しかも、見覚えがあり、黒字に金文字。

 金文字は、もちろん『S地区担当死神』と書かれており………デジャヴ再び…。(※学園はS地区にあります)

 顔が引きつるのが止められない。再度、この悪趣味な名刺にお目にかかることになるなんて…。てか、死神って趣味わるっーーー!!

 俺の顔が引きつっているのがわかったのか、グラサン死神からポツリッと小さく愚痴る声が聞こえる。

「だから、私はあの名刺が嫌なんです。あんな趣味の悪い名刺、閻魔様が選んだものじゃなかったら、永久凍土の中にうもらせ、二度と陽の目に会わせないものを!」

 ………小声で言っているはずなのに、グラサン死神の声がいいのかまる聞こえ。

 あの趣味の悪い名刺を閻魔様がね………。

 ちょっとだけ、あの世に行って閻魔様が見てみたい………なんて、ことを思ったりして…。



 ふと、グラサン死神を見ると、目が合う。ニッコリっと目が笑っていない状態で、「それで納得できましたね」なんて、言われて………納得できますけど、できません。

 時間稼ぎしないと…。

「えっと、俺できれば、いつもの死神に魂を狩られたいかな?」

 いや、あの七三分けの死神でも嫌だけど、ここは我慢。

 そうすると、なぜかグラサン死神は嫌そうな顔をし………あの軽薄でどうしようもない死神より、私に魂を狩られたほうがいい…などと、説得し始める。

「いいですか、あの死神は、あの口調で閻魔様と話すし、書類の全てを以下同文です。そのような、敬語も使えない男であり、信用度0(ゼロ)な男です。しかも、間違ってあなたの魂を狩った馬鹿であり、そのような者に魂を狩られるより、私のほうが断然いいと思いますが、松下君はどう思います?」

「はい、俺もそ…フゥガファガ………」

「すみません。忍はどうやら色々ありまして、動揺しているらしく言葉にできないそうです」

「………それは、小田桐君が故意で、口に手を当てているせいではないのかい?」

「気のせいです」

 危なく肯定してしまう返事をしてしまうところだったのだが、雪次のとっさの判断で口に手を当てがれ、事なきを得た………あれって完璧、グラサン死神の誘導だったよな?

 あ、侮れん………。

 俺はいまだ口が塞がれたままだが、雪次と目線でそう会話し、頷き合った。



 それからの対応は、全て丸投げ雪次任せ。

 また、俺が誘導され頷いてしまうといけないからね。

 で、何度目かの俺の魂をグラサン死神が狩るのはおかしい(?)発言を繰り返していると、うしろに控えている弟子が、ポツリッと余計なことを言ってくれて、事態は急変する。

「師匠、これは時間稼ぎです!」

「…なるほど」

 チッ!!

 俺と雪次の舌打ちが響く。


[後退〜♪][前進〜♪]

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