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死神とダンス♪
82.逝くということぉ♪

 2人の死神が俺達から少し離れた場所に移った頃、俺は雪次の目を見て話し始める。

 杉崎君の身体を貰う際、【契約書】にサインしたこと、その内容も…。

 1.条件として1年以内に自分を真剣に愛してもらえる人を見つけられないと、身体は差し上げられません。しかも、強制的に地獄に行ってもらいます。

 ※身体の関係上、上記の事柄は早めに済ませてほうが良い。

 2.身体が自分のものとなっていない期間、周りの人に『杉崎しのぶ』の身体で『松下忍』だと正体が暴かれた場合、問答無用で地獄行き。

 2に関しては、全く内容を読んでいなかったのだが、死神からの説明できっとこのように書かれていたのだろう。(※雪次に正体がバレても大丈夫なのは、しのぶのおかげ。(※15話参照)



 俺が話し終わると、雪次は呆然としていて…突然俺を抱きしめる。

「さっき、忍、お前………」

「うん、松下忍ってバレたらってのは、雪次で経験済みでしょ?1回目は杉崎君に助けられたけど………今度は自分からだしね」

 俺を抱き締めたまま、雪次は前に俺の正体を暴いた時のことを思い出したのだろう…かなり、動揺しているのか身体が少し震えている。

 こんな190p近い身体で、こんなに震えて………俺との別れを少しでも寂しいと感じてくれているのだろうか?

 それとも、杉崎君の身体が動かなくなることを悲しんでいるのかな?

 雪次が俺を強く抱きしめる。

 まるで、俺と別れたくないって思ってくれているみたいに………そんなことある訳ないのに………雪次が好きなのは杉崎君だ、俺じゃない…。



 涙が出る。想いが溢れ過ぎて………切なくて…。

「雪次、好き。大好き。愛している。ズズッッ、たった1年だったけど、雪次と会えて良かった。ズッズズー、たぶん、あっちに行ってもずっと好き」

 自然と言葉が出た。あんなに渋って声に出せなかった告白………鼻をすすっているのはスルーして下さい。

 抱きしめられている身体を起こし、雪次を見てみると、そこには、目を大きく見開き、唖然としている雪次がいて………。

 もしかして、キモい…なんて、思われていたりして。だって、中身俺だし…。



「ご、ごめ―――」

「会長のことが好きなんじゃないのか?」

 俺が誤る言葉を発するのと同時に、不愉快な言葉が雪次から発せられたような………。

 気のせいだと思いたいが………雪次を睨むように「今、何と言った」と、思わず凄んで質問してしまう。

「えっ、と、忍が好きなのは会長ぅぅぅ………」

 雪次の最後の言葉がおかしくなっているのは、俺が般若の形相に替わっていたからだと思う。

 それほどまでに不愉快な台詞であって…。

「どこをどう考えたらそうなるワケ?はぁ〜ん、あの馬鹿倉吉をぉ〜?杉崎君から身体を貰ってから1p………いや、1ミクロも恋愛感情を持ったことないわ!!あんな倉吉より、俺は断然雪次を選ぶね。倉吉の親衛隊にも言ってやりたいよ!あんな糞馬鹿な奴より、まだミジンコのほうが数千倍もいいってね!!」

 最後はノンストップで話したため、息切れしているが、よく考えたら再度雪次に告白しているような………。



 カアァァァァーッ!と、赤くするとともに、俺に告白されても嬉しくないよなっと思うと、申し訳なくて…。

「ごめん、雪次。雪次が杉崎君のこと好きだと知っているに、急に告白して…。困るよな、姿だけは雪次の好きな杉崎君で、中身平凡な俺だもんな。キモいよな…ごめん」

「は?」

 俺の謝罪に今度は雪次が怪訝な表情を浮かべる。なぜ?

 俺はわからず、雪次を凝視していると、「はあぁぁぁぁ」と、盛大にため息を疲れた。

 えっと、このため息の理由は………何なんでしょうか?


[後退〜♪][前進〜♪]

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