死神とダンス♪
06.初★対面ですぅ♪
杉崎君の心臓が止まった………。
その瞬間、杉崎君は胸に手をあてたまま床に倒れ、真っ暗な部屋の中、ケータイ画面が白く映し出され、虚しくどこかにかけられるはずの番号が表示されていた。
「さってぇ〜、忍クン、行きますよぉ〜」
そう死神が言うと、死神と俺の身体がフワッと浮き、壁抜けしながら杉崎君の身体の側に到着する。
杉崎君の身体の側には、呆然と自分の身体を見つめる杉崎君の姿が………。
魂だけとなって霊体となっている杉崎君は、遠めで見るより美形で天使に見えた。
これこそ、ファンタジーなんてメルヘンなことを考えていると、場を崩す声が響く。
「こんばんはぁ〜♪私、こういう者ですぅ〜」←何か、デジャヴ。
死神は、のん気に黒に金文字の名刺を渡し(←これも、デジャヴ)、ニコニコしている。
杉崎君は、名刺を受け取ると「死神さんですか…」と、やけにあっさり納得している。いいのか、そんなんで?もうちょっと、リアクションが欲しい。
てか、初めて死神と遭遇した時の俺が変なリアクションなのか!?と、自分で突っ込みたくなる。
その後、死神は杉崎君に今後の説明をし、俺と杉崎君の初対面となる。
「松下忍です。よろしくお願いします(?)」
「杉崎しのぶです。僕の身体、大事に使って下さいね」
俺の微妙な挨拶に、杉崎君はニッコリ微笑みかける。
しかし、俺はそれよりも、先ほど遠目だったので確認できなかった瞳の色がはっきりわかり、思わず呟やいてしまう。
「目の色が紫………」
「うん。僕の母も紫だったよ。母はハーフだから僕はクォーター………もしかして、気持ち悪いかな?こんな身体じゃ、やっぱり嫌?」
杉崎君は、どうやら日本人離れした自分の容姿が、俺にお気に召さないのではないかと心配になったようで、泣きそうになる。
もちろん、俺は高速で首を横に振って「滅相もございません!」と、変な返事をしてしまう。
そんな俺に杉崎君は天使の笑みを浮かべ、人見知りが激しく身体が弱かったから、俺と入れ替わったことがバレることはないという、励まし(?)の言葉をかけてくれるが…。
しかし、ここで杉崎君から問題発言が………。
「あっ………でも、もしかして、1人バレるおそれがあるかも………」
「えっ!?」
俺の驚きをよそに、杉崎君は死神に駆け寄り、杉崎君の幼馴染のことをどうするか?何てことを質問していた。
「うっーーーん、あの子ねぇ〜。どうしよう、絶対バレるよねぇ〜?」
「はい、死神さん。僕の幼馴染は、僕の母代わりっと、言っていいほどの存在でしたので、かなりの確率でバレると思います」
「どういうこと?」
1人蚊帳の外に追い出されていた俺が、質問すると、死神からはあまりにも能天気な説明がされた。
「テヘェ、実はぁ〜、しのぶクンの幼馴染は、しのぶクンのオカン(世話焼き)でぇ〜、このままいくと100%確実にバレてぇ〜、忍クンは地獄行きでぇ〜すぅ〜!」
この死神、殺していいよね………。
俺は腕に力を込め始める。
[後退〜♪][前進〜♪]
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