死神とダンス♪
78.復讐劇第二幕ぅ♪@
「忍、忍!!」
やけに切羽詰まった声が聞こえる。雪次?
あぁ、やばい………天国?または地獄に来てまで、雪次の声が聞こえるなんて…そうとうキてるな………。
目を開けるのがもったいない。もう少し、雪次の声に包まれていたい…。
ペシッペシッ。
軽めではあるが、俺の頬を叩く感触………この手の感触は雪次だ。あれ?
目を開けると、俺の目の前にはホッとした表情を浮かべる雪次。
俺、生きてる?
俺は温室にあるソファーに寝かされていて、事態がよく掴めない。
雪次の手を借りながら起き上がると、少し離れたところに倉吉が頬を真っ赤に腫らして転がっていた。
「忍の帰りが遅くて捜していたら、会長が忍の首を絞めていた。で、殴った」
あぁ、雪次が助けてくれたのか…。
首に手を当てると、少し痛い。
きっと跡が残っているのだろう。雪次は俺の首をしきりに見ていは、眉間に皺を寄せている。
倉吉は、雪次に殴られ転がっているものの意識はあるようで、ブツブツ何やら呟いていた。
「雪次、こいつ………見殺しにした。お、松下忍を殺したのはこいつだ!!」
俺がボロボロ泣きながら雪次にそう告げると、雪次はどういうことだと眉を顰める。
「俺は知らない!!あいつが勝手に俺を助けて、俺はただ誰にも話さなかっただけだ!」
俺が話すより先に、転がっている倉吉が真実を話す。
これだけの説明で、雪次は納得したらしく、俺の側をはなれ倉吉の側に行く…。
俺は俺は………殺されていたんだ。いくら振った相手でも見殺しにするのか!?そこまで、倉吉は腐っていたのか!!
俺はまだ松下忍で生きていたかった。それなのに!!
両親や妹に夏に会いに行った時、笑いが溢れていたけど『しのぶ君』と今の俺の名を呼ぶたび、みんな俺を思い出して、懐かしむような顔をしていた。
それはきっと俺を知る人、皆そうなのだろう。
俺はもう二度と両親達と俺を知る人達に、松下忍としては会えなくなった。
それは本来起こらくても良かったことだった。
悔しい…とっさに温室の花壇に置き忘れられたスチール製のスコップを両手に取る。
こんな物で、倉吉に何かできるなど考えていない。
でも、それでも!!
倉吉は、雪次に何か言われて顔をさっきよりも青くしている。
俺に気付く様子はない。………ヤれる。
いまだ流れている涙を止めるべく袖で拭う。もう迷いはない。
俺の復讐劇第二幕がこうして始まった。
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