死神とダンス♪
68.雪次クンの暴走ぅ♪@(Side.雪次)
部活終わり足早に部屋に向かおうとすると、古市の姿を見つけた。
席は前後だし、忍がかなり(?)世話になっているので、忍の『オカン』を自他ともに認めるオレとしては、声を掛けるのは当然で、「よう」と、気軽に声を発したのだが………古市の目がせわしなく動き、何やら様子がおかしい。
そう言えば、この頃忍と何やらコソコソし、特に今日はオレの放課後の予定を念入りに聞いていたような…。
今日、何かあったのか?
自分でわかるくらい、眉間に皺が寄る。
古市は俺の眉間の皺を身近で見ているので、顔を青くしたまま固まる。
「古市、部屋はどこだ?」
「ヒィィ!」
古市の部屋で問い詰めるために発した言葉なのだが、古市は悲鳴を上げてオレに部屋の鍵を押し付ける。
鍵のプレートには『5023』の文字。
5階か………。少し忍の夕食が遅くなるが、そのまま古市を引きずるように廊下を闊歩する。
古市は引きずられながらも、ケータイでどこかにSOSし、泣き声とともに「黒様、助けて下さい〜!」と、何とも情けない声を発していた。
部屋に到着すると、部屋の前には『ドラ○もん』がいた。正確には、うちの制服を着たドラ○もんのお面を付けた男だが…。
それを見た古市は、オレの手を払い『ドラ○もん』にすがりつきながら、「殺される〜」とか「外国に売られる〜」など、訳のわからない言葉を発していたが、これは、オレにそうされる要素があるということで…。
「古市…それとも、そこの『ドラ○もん』、どういうことか説明してもらえるんだよな」
いつもの淡々としたしゃべり方ではなく、ドスを利かすように言うと、古市は本泣きし、『ドラ○もん』からは、「とりあえず、部屋に入ろうか」と、気軽な声が掛る。
古市の部屋に入ると、オレはドカッとスポーツバックと自分の腰を床落とし、古市は自屋だというのにオロオロしている。
一方、黒様と呼ばれる人物は、自分の部屋でもないのに古市に「お茶の用意を」と言い、ソファーに優雅に腰掛け足を組んでいる。
この落ち着き………あぁ、そう言えば、忍が『ドラ○もん』のお面を被った人は『黒様』と呼ばれる【腐男子友の会】のトップだと話していたな。
お面を被っているので、正体はわからないが………いや、この声はどこかで聞いたことがあるような?と、思考を飛ばししていると、黒様が話しかけてきた。
「聞きたいことは、今日の『bQ8迫ってお色気作戦』のことだろうか?」
「はぁあぁぁ!?」
「黒様〜〜〜、そんな、作戦名まで明かすのはなしですーーーっ!!」
まるで、今日の天気は―――のように、爽やかに話すの黒様、それに驚くオレ、で、古市の悲鳴が部屋の中に木霊した。
古市の同室者が、ここにいなくて良かった。これで、心置きなく問いただすことができる。
「説明………してもらおうか」
自分で認めるまでもなく、目が座った状態のオレ。
じっくり話しを聞くために、床に寛ぐように座り直す。
それからの話しは、オレをキレされるのには十分な内容だった。
「と、言うことは、忍は尻の穴を触られまくった挙句に、処女を捨ててくれば好きになってやる………と、言われたと?」
「う、うん。でも、しのタンは―――」
「古市君、あとの話しは私が説明しよう」
オレはことの詳細を確認するように古市に問い詰めるが、そこからはなぜか、黒様の出番となった。
「しのタンは、それはもうショックのあまり泣き出してね。ショックのあまり、『そこら辺の男でも捕まえて、ぼくの処女あげてくる〜〜〜』なんて叫ばれて………。はぁ〜、さすがに、私達も止めるのが大変でした」
「く、黒様〜?」
「いいんですよ。古市君、君が友達思いなのは知っています。こんなこと、小田桐君に知られては、しのタンの貞操が………なんて、教えづらいですしね」
オレはその言葉に青ざめる。まさか、もう忍は誰かと………。
オレの顔色を確認したかのように、黒様は。
「いえ、さすがにそれはまずいと思い、今日は大人しく部屋に帰させました。しかし、しのタンのあの様子ですと、明日にでも自分のファンの中から誰かに声を掛ける可能性が………」
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