[携帯モード] [URL送信]

死神とダンス♪
57.気付いちゃいましたぁ♪

 目を開けると、死神のドアップ!!

 死神のドアップは、見るに堪えないはずなのに………あれ?死神って、もしかして美形?なんて思って………そのままドアップを30秒ほど固まって見つめてしまった。

「わおぅ〜、忍クン、私の顔ジロジロ見て、もしかしてぇ〜、私に惚れちゃったぁ〜?」

「え?………いやいやいやいやいや、美形…じゃくて、何て考えないない…キモいから、俺の顔の前からどけ!!」

 俺はそう言って、ベッドに横になっている身体を起こそうとした。が………。

「はっへぇ?う、動かない?」

「しばらくは、身体は動かせないよぉ〜。さっき、身体から魂がほぼ出ちゃったからねぇ〜」

「身体?魂?」

「あれぇ〜?覚えてないとかぁ〜?」

 死神の言葉に、マメ柴と話したあと考えごとをして、身体がありえないほどの痛みに襲われたことを思い出した。

 俺のそんな様子に気づいた死神は、「思い出したぁ〜?」と、いつもの口調で言い、こうなった経緯を説明してくれる。

「大変だったんだからねぇ〜、忍クンが突然、しのぶクンの身体を拒絶したから、魂離れようとしちゃうしぃ〜、そんな忍クンを私ぃ〜、必死で寮の部屋まで運んだんだよぉ〜。雪次クン部活だったからぁ〜、忍クンの側にいないんだもん、私困っちゃったぁ〜」

 と、死神は可愛く眉毛を下げている………七三分けの男がやってもキモい!



「あれ?それじゃ、俺に必死で声をかけていたのは、死神じゃないの?」

「声?………あぁ、忍クンが倒れた時、『大丈夫ぅ〜』くらいは、声かけたけどぉ〜?」

 キットンッと目を丸くしている死神。

 それでは、あの時の声は死神ではなかったのか?確かに、死神の声に似ていたような気がしたんだけどな?

 ここで、真剣に悩んでいる俺にのん気な声が…。

「なになになになに、忍クンてばぁ〜、あの世からの声でも聞こえたのぉ〜?もしかして、それってぇ〜、閻魔サマの美声かなぁ〜?でぇもぉ〜、閻魔サマってば、美声というより怒号しか私に言わないからぁ〜………天使チャンの声かなぁ〜?」

 ………閻魔様の怒号って、それってお前が怒らせているだけだろ!!………やっぱ、あれは死神の声ではない!!幻聴だ!幻聴に違いない!!



 身体が動かないとなると、これからのこと考えなきゃな………。

 雪次にこれ以上迷惑をかけるわけにいない。

 思った傍からこの展開、死神に身体が元のように動くのはどれくらいっと聞くと、答えは1週間程度。

 また、マメ柴に怒られそう………。

 マメ柴、雪次のことが好きなんだよな………。

 好き………あぁ、そうか………俺も雪次のことが好きなんだ…。

 マメ柴に挑発されて、自分の気持ちに気付くなんて………。

 でも、雪次は、俺のことをただの杉崎君の替わりとしか思っていないだろう。

 諦めなければ、こんな感情…雪次には迷惑以外の何物でもない。

 ………もし、万が一俺を好きという感情が雪次にあるとすれば、それは、雪次が杉崎君を好きだったということで………。

 そうだ。雪次が俺に対する『オカン』ぶり、どうみても普通じゃないっと思っていた。

 だとすると、雪次は、杉崎君が好きだったのか?

 なら、俺がいつまでも雪次の側にいるのは、雪次にとって苦痛になるかも知れない。

 じゃあ、俺が今すべきことは、雪次の側にいなくなることで………。



「忍クン、何か変なこと考えてないぃ〜?」

「変?変じゃないよ、当初の目的を実行しようと思っただけ」

 死神が俺の顔色を伺うように覗き込んでくるが、俺はこの時ある決意を決めていた。

 死神はそんな俺を見て、「やっぱりぃ〜、最悪なこと考えているじゃん〜!」なんて言っているが関係ない。



 俺は、【腐男子友の会】の提案された『bQ8迫ってお色気作戦』を実行することに決めた。


[後退〜♪][前進〜♪]

11/24ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!