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死神とダンス♪
56.忍クンの気持ちぃ♪

 『顔だけで、雪次を縛っている』………確かに俺は、杉崎君の身体を貰った訳で、それで雪次が俺を気にして『オカン』になってくれているのは事実で。

 て、ことは外見が杉崎君なら雪次は、俺でなくても誰かの『オカン』になるということだろうか?

 それならば、雪次は俺が杉崎君の身体を貰ったせいで、俺の『オカン』を嫌々でもしなければと思ったのかもしれない…。

 俺の存在が雪次を苦しめている?

 雪次を解放したほうがいいのだろうか?

 いや、でも解放するためには、俺はこの身体を返すしか方法がない………て、それは、無理だろ!

 俺まだ生きていたし………復讐は………したいのか?



 復讐したい………で、迷うなんて………。

 復讐なくして、俺のあの時の憎しみとも哀しみとも言えない感情は、癒えないとずっと思っていたのに………。

 俺、どこかで間違えた?………間違えていたのならどこから?

 一番初めから無理だったのかな………。

 死神に間違えで魂取られたのなら、大人しくあの世とやらに行っていれば、こんなことには………。

 杉崎君にも悪いことしたかな、こんな迷いばかりみせる俺に身体を譲ったこと………。

 あぁ、こんなに迷うのなら杉崎君の身体なんて貰わなきゃ良かった…。



 そう思ったその時、俺の身体がドックンッと脈打ち、今まで体験したことのないような痛みが全身を駆け巡る。

「えっ、イタ………何?」

 まるでブリキ人形のようにギギッとした動きしか見せない身体。

 自分の意思とは関係なく身体が倒れる。

 痛い痛い痛い痛い痛い………誰かが無理やり、身体の皮を無理やりはがそうとしている感じがする。

 とてつもない痛みに意識が遠きそうになる。



 その時、突然切羽詰まった声が聞こえた。

「忍、意識を強く持て!この身体は自分の物だと思え!!」

 どうしたんだよ、いつもの口調がズレているよ。いつものように人をイラつかせる口調で話せよ。

「聞こえているか、忍!このままだと、身体から魂が抜ける。何でもいい、何かに執着するようなことを思い出せ」

 執着?………何だろ?俺は何かしたいことがあるのだろうか?

 あぁ、一つあるかな………もう一度、雪次の笑顔が見たいなぁー。

 そんなことを考えていると、俺の意識が暗闇に落とされる。






 ………雪次は俺が俺だとしても、あの笑顔を見せてくれるのだろうか?






 こんなくだらないことを暗闇の中で考えていた。

 その時、杉崎君が哀しい顔をして、俺を見ていたような気がする………。


[後退〜♪][前進〜♪]

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あきゅろす。
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