死神とダンス♪
53.忍クンの変化ぁ♪
その後、雪次は保険医にお礼を言い、寮へと俺を抱き上げたまま進む。
「雪次、俺、重くない?疲れているのにごめん。明日は休むようにするから…」
「軽いし平気だ。それに休む必要はない」
「えっ?」
「頑張っているのだろ?元の自分に戻ろうと」
「どうして、それを…」
俺が驚きの表情を見せると、珍しく雪次の眼が優しくなり、いつもの無表情さから温かい表情に変わる。
「『俺』って、何回か教室で言っていただろ?頑張れ、忍」
「う、うん…」
雪次は、温かい。雪次は、俺を俺自身として応援してくれる。
ポッと身体が温かくなる………こんな時、少しわかる。
今、俺の魂と杉崎君の身体が一致し、嬉しいと同じ感情が重なる。
これが、死神が言っている『身体と魂の融合』というのだろか?
寮に帰るとやはり自分の感じたのは間違えではなく、身体が楽になる。
そうすると、雪次がなぜか俺以上に喜び、俺の大好物のハンバークを作ってくれる。今回は目玉焼きのトッピング付き!
本当は、部活+俺のお迎えで疲れているはずで、食事を作るのも大変なのに雪次は「しのぶで慣れている」と、言ったきり、黙々俺の世話をし始める。
杉崎君が、どれほど雪次に世話になっていたかはわからないが、中学と高校では寮生活も加わり大変さが違う。
一度、食堂に行こうっと言うと、雪次は食堂より俺の料理のほうがうまいと、なぜか不満気で、その日のメニューがなぜかフルコースになった時、俺は、雪次にはもう何も言うまい、と誓った。
しかし、あの時どうやってフルコース料理を作ったのか、いまだに謎だ。
「雪次、俺、変わろうとは思っているんだけど、クラスメイトとかは、もう杉崎君バージョンの性格をインプットさせてしまったから、なかなかうまくいかなくて…」
ハンバークを食べながら、そんないつもの俺らしくない発言をしてみる。
しかも、雪次からどんな反応が、返ってくるのかわかすらず、目線はハンバークに釘つげだ。
『自業自得』………それとも、『復讐などしようとしたから、こんなことになるんだ…』なんてこと当然言われるんだろうなー。
死神でさえも、当初から俺の復讐計画を良く思っていなかった。
あの、能天気の死神が俺に忠告するくらいだ、最初っからうまくいくとは、思われていなかったのだろう。
実際、全くうまくいってないだけに………死神の忠告が、今頃になってボディブローのように効いてくる。
[後退〜♪][前進〜♪]
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