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死神とダンス♪
50.松下忍の人生ぃ♪

 あ、ヤバイ。あの時のことを考えていたら涙が………。

 倉吉の言葉が忘れられない。



「本気で好きなヤツできたことないしな」



 それの意味することは、松下忍時代の俺は、ただ利用されていたということか?好きだったのは俺だけということか?

 一瞬、俺の何を利用したのかわからなかったが、よく考えてみると倉吉の受験勉強や長期休みになるたびに持ってきた宿題を俺はかなり手伝った………いや、俺は自主的にした記憶があって………。

 利用したのは、俺の頭だ。俺を少しも………ほんの少しも好きではなかったということだ!!

 だよな………。そうじゃなきゃ、俺が瀕死の時も、すんなり忘れ去れているはずもない訳で………。

 松下忍の人生は、いったいなんだったのだろう?

 俺は、このままこんなくだらないことに時間を費やしていいのだろうか?

 一度も愛されなかった真実を知ってから、俺はかなり凹み。そのことばかり考えるようになっていた。



「しのタン、しのタン、次の作戦がどうやら決まりそうだよ」

「え、古市君、文化祭の反省はどうなったの?」+首傾げ。

「もう終わったよ、みんな立ち直り早いしね」

 どうやら、俺が文化祭のことでトリップしている間に、文化祭の反省会を終え、次の作戦に移っているようだ。

 しかし、黒板に次々に書かれている文字を目で追った時………凍りつきました。

 最有力候補にあがっている作戦は、『作戦28 こうなりゃ、もういっそ身体で迫れ!!』………誰か嘘だと言って下さい。

 細かく黒板に指示つきで書かれた、それは、ベンチに1人でいる倉吉に近づき、膝の上に対面方式で乗り上げ、自分に本気になってほしいなどの告白をし、キスするというもの………。

 一部、【腐男子友の会】会員からは、「これで、BL同人誌が描けるー!!」などの声が聞こえた気がするが、呆然としている俺には。



 『なぜ好きでもない男に、そんなことまでしなければ………』

 あまりの情けなさに、がっくり項垂れていると、突然、目が霞みはじめる…。

「あれ?」

 クラッ。

「「「しのタン!!」」」

 どうやら、俺は自分の情けなさに現実逃避………のように気絶したみたいだ。

 最後に【腐男子友の会】会員の悲鳴じみた声が聞こえた。

 興奮しすぎたのかな?この頃、何となく身体の調子悪いんだよな。

 倉吉に復讐しようと頑張り過ぎているのだろうか?



「違うよぉ〜、忍クンの迷いが、しのぶクンの身体に負荷を掛けているんだよぉ〜」

 死神の声に意識が浮上し、目を開ける。

 そこには、七三分けスーツ姿のいつもの死神…。久しぶりなどと思うより、どうして、姿を現しているのか気になり、ベッドに寝かされていた身体を起こし、部屋を見回してみる。

 清潔な真っ白なシーツ、消毒液の薬品の匂い。どうやら、ここは保健室のようだ。

「今回は、私の独断だよぉ〜。この頃、忍クン倒れる回数が多くなってきたから、教えてあげようと思ってぇ〜」

 果てしなく悪い予感がする。


[後退〜♪][前進〜♪]

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