死神とダンス♪
43.還りたい場所★
夏休み某日。
俺は伯母夫婦宅の自屋で悩んでいた。
別に外が暑くて外出禁止命令が出て悩んいる訳ではなく、隣になぜか雪次がいて俺の世話を焼いて少しウザいことを悩んでいる訳でもなく………。
パンッ!
「よし、悩んでも仕方がない。ここは、一つ………死神、契約事項で確認したいことがある。姿を現してくれ!」
俺はおもむろに自分の頬を両手で叩き気合を入れ、死神を呼ぶ。
雪次は俺の突然の行為に驚いて珍しく表情を変えているが、ここはスルーだ!
俺の言葉に死神は、いつものウザい七三分けの頭に、これまたいつもの黒スーツ姿で現れた。
「2人ともぉ〜、おっひさぁ〜♪それで、忍クンは【契約書】の何が知りたいのかなぁ〜?」
俺は一息深呼吸し…。
「俺は俺(松下忍)の家に還っても、契約違反にはならないか?」
死神と雪次がの驚く顔が見える。
それでも、俺は………一度は、還ってみたかったんだ、自分の本当の家に………。
それから、話しは早かった。
死神から前の家族に正体がバレなければ、支障なしの回答を得られ、次は外出禁止を解くため伯母夫婦に直訴………と、思ったが、ここで雪次が「自分が付き添う時は、外出禁止を解いて大丈夫だ」と、説得してくれた。
雪次の家とは、今はかなり離れている。
前は、杉崎君のアパートが雪次の家と近かったけど、危篤(?)の時に伯母夫婦の家に引っ越してきたからね。
俺のわがままに、雪次を巻き込んで申し訳ない。
素直にそう謝罪すると、雪次からは「自分のためでもあるから、オレも忍の家に行きたい」と言う。
どういう意味だ?
………はっ!もしや、雪次は仏壇に置かれている平凡な俺を笑い者にしたいとか?
くっそ〜!いいよ、見ればいいさ!平凡忍君の写真を!!←ヤケッパチ。
それから数分後…。
「あっつい………焼ける、溶ける………何か、杉崎君の身体って夏に弱い気がする…」
どこの凶器だー!と、いうくらい太陽の暑さ&照り返しのアスファルトの熱。
夏だから仕方がない…と、言われればそれまでだけど、ここ最近の天気に俺は不満を言いたい!!
「大丈夫だ。しのぶは夏も冬も………春も秋も身体が弱かった」
「…雪次、それって、どの季節も俺にとっていいことないって意味だから…」
「そうか…」
こんな不毛な会話をしつつ、俺は俺本来の家に足を進める。
[前進〜♪]
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