死神とダンス♪
25.行こうぅ♪
「………行こう…」
「えっ?」
ポツリっと小さな声で古市が何か呟いた。俺はよく聞こえなかったので、聞き返したのだが………。
「………ふっふふふふふふふふふふふふ、ぬっふふ」
古市の笑いが、教室中に無気味に響き渡る。
これは、逃げたほうがいいのかな?古市が狂った。
うしろに一歩下がろうとすると、俺はいまだに肩を古市に掴まれたままで、逃げ出すことができない。ここは、クラスメイト達に助けてもらおう!
「た、助けて〜」+涙目。←演技ではなく素で泣きそうです!
わずかに残っているクラスメイトの顔を見渡し、訴えてみました。が、ここで、クラスメイト達は………。
ドッダダダダッッッ!!
俺の顔を見たとん、顔を赤くし、次には股間に手をあて逃げていく。
逃げていく際、少し余裕のある生徒の声が廊下にこだました。
「ご、ごめん!トイレでーーー!!」
これは、もしや俺のせい………もとい、杉崎君の容姿のせいなのか?(さっきのも含めて)
さすがに、今、自分の顔を鏡で見ることはできないが、予想はできる。
………うん、ごめん、クラスメイト達、俺も元のままで杉崎君の涙目を見るとそうなるわ。トイレで息子を労わってやってくれ!
そして、教室からクラスメイト達はいなくなり、俺と古市だけとなる。
はっ!もしかして、俺ピンチ!!誰でもいい、この際、猫でも犬でも俺を助けてくれーーー!!
そうしているうちに、古市はニコニコ笑みをうかべ、俺の鞄と自分の鞄を持ち「行こうっか〜♪」と、俺の腕を掴み、教室を出る。
どこに???最大級の疑問符を頭に乗せ、雪次にケータイで連絡をとったほうがいいのか本気で迷う。
「古市君、僕はどこに向かっているの?」
それから、数分後、俺はよく手入れされている花壇に到着していた。
古市は、キョロキョロ花壇周辺を見回していたが、突然、何かを見つけたようで、満面な笑みを浮かべ、温室らしきガラス張りの建物を指さし、あそこに会長がいるよ!っと、教えてくれる。
で〜た〜なぁ〜!!俺の復讐相手、ラスボス倉吉!!今、ここで倒おしてやるーーー!!
はっ!つい、本音が………いやいや、ここは、復讐計画どおりにしなくては…。
危うく、首を絞めに行くところだった。落ち着け、俺!
「しのタン、どうしたの?嬉しくないの?生徒会だよ!しかも、『会長』!抱かれたいbPで美形で頭脳明晰で運動神経バッツグンで!!どうどうどうどう!しのタン、惚れる要素たくさんでるでしょ!?」
爆裂トークを繰り広げている古市、その際、「行けー!王道しのタン号、会長に惚れられて来い!」などなど、変な文面もあったが、そのつもりである訳で…。
ここは、素直に古市の言われたとおり温室に行くしかないでしょ!
と、ここで、俺が温室に足を踏み出すが、立ち止まっているままの古市?
「古市君、一緒に行かないの?」
「うーん、この頃、『平凡総受け』って、人気なんだよねー。俺、そのフラグにたちたくなし………このイベントは、遠くから見守るってるから、頑張ってしのタンだけで行っておいで!」
古市は、たしかに容姿は平凡だが、『平凡総受け』って?
意味はよくわからんけど、腐男子の間では、色々な分野が流行っている…らしい。
顔が引きつる感じがするが、古市に満面な笑顔で手を振られる中、俺は温室に入る。
[後退〜♪][前進〜♪]
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