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死神とダンス♪
18.雪次クンの気持ちぃ♪A(Side.雪次)

 最初から、オレは変だった。

 『しのぶ』ではないと知っているのに、なぜか今の『しのぶ』の世話を焼きたがる。

 しかも、いくらしのぶのオカンをしていたとはいっても、しのぶの身体など拭いたことはないのに、今の『しのぶ』の身体は拭いている。

 ………何か悪いモノでも食べたか?

 答えが出ないオレは、大学に通う女王様の姉に聞いてみることにする。



 オレの姉は、女王様。

 自分の美を武器に何人もの男をはべらし、下僕にしているらしい。←姉の言葉。

「姉貴、オレ、今の『しのぶ』に前と違う気持ちで接しているようだ。これは、どういうことなのだろ?」

 ブフッーーー!!

 オレの正面のソファーに座る姉が、紅茶を盛大にオレの顔面に吹き付けた………。コントか?

 拭くものがなかったので、とりあえず自分の服で顔面をゴシゴシッ拭いていると、姉が咽ながら………日本語らしきものを発していた。

「ゴボゴボッ、な、なに、ケホッ、雪、『ホ、ホモ』に、ゲホッゴッホ、とう、ととう、ゴホッ、なったの!」

「………姉貴、日本語かそれは?」

「馬鹿たれがー!!日本語よーーー!!」

 姉が紅茶カップをオレに投げつけてきたので、それをキャッチし今の状況を話す。



「なるほど、瀕死の状況から生還した今の『しのぶ』君に以前とは、感じたことのない感情が生まれたと言う訳ね」

「ああ。で、これは、どういう意味なのだろう?」

「雪、アンタ初恋くらい経験しているでしょう?それなら、その感情はわかるでしょ?」

「初恋は、幼稚園の時に女と間違えた、しのぶだが………その後の感情は、オレが早々に『オカン』になったから、よくわからん」

「………そうだったわね…。しのぶ君の世話焼きで………ドキドキなんて、感情をあなたに期待したのが馬鹿だったわ。しかも、その後の雪はバレーボール馬鹿に転向しちゃって、恋愛よりそっちにいっちゃったしね…」

 姉はそう言ったきり、ブツブツッと小声で「『オカン』卒業で初恋カム・バッーク………もう、この際、しのぶ君を嫁にもらっちゃいなさい」などと言っていて…。

 オレのこの感情は、『恋』ということなのか?いまいち、はっきりしない感情に苛立ち、その後、オレは強硬手段にでる。



 『しのぶ』の口を塞ぎ、真実を明らかにした。

 そして、やはり、しのぶの身体にいるのは、しのぶではなかった。

 しのぶが旅だったことは、幼馴染として哀しかった。

 しかし、しのぶは納得し忍に身体をくれたと知って、それなら、今の忍のことはオレが………。

 どうやら、忍は死の原因となった元凶に復讐を決めているようだ。

 復讐には、協力できそうにもないが、忍の側にいたい………これも、初めて持つ感情だ。

 オレは忍に協力者(復讐以外の)に志願し、見守ることにする。

 たぶん、することは、しのぶの時と変わらず、『オカン』だが、それでも、これから忍と接して自分のこの気持ちを明らかにしたいと思う。



 オレのこの気持ちが『恋』なのか?もし、『恋』だとしたら、復讐をしようとしている忍をオレはどうするのだろう?

 少し不安でいるオレに、なぜか死神が笑ったような気がした。






第1章 END


[後退〜♪]

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あきゅろす。
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