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死神とダンス♪
17.雪次クンの気持ちぃ♪@(Side.雪次)

 オレには幼馴染がいる。

 杉崎しのぶ…天使の容姿で、皆を幸せにさせる力がある。

 しかし、しのぶは身体が弱い。しかも、心臓の機能が成長するにすれ限界に近づいている。

 これは、しのぶから直接聞いたことで………15歳になった今、それをより濃く感じていると言っていた。

 オレは、その話しを聞いて「何もできなくてごめん」としか、言えなかった。

 そんなオレをしのぶは首を振り「側にいてくれるだけで嬉しい」と、天使の微笑みでいつものように答える。

 そして、しのぶはいつの間にかオレの側からいなくなっていた………。



 オレは、自他ともに認めるほど、しのぶの『オカン』だ。

 しのぶの毎日の鞄の持ち運び、食事の世話、洗濯、宿題の手伝い…etc………数えるとキリがない。

 バレーボール部に所属しているオレは、学校の帰りはもちろん遅い。それでも、毎朝、毎晩、近所に住むしのぶのアパートに通うのを止めない。

 実は、しのぶは外見の天使とは裏腹に、なぜか大雑把を通り越している性格だった。

 家事が一切できないのはもちろん、部屋が汚かろうが、賞味期限の切れた食品を食べようが、数日風呂に入らなくても、平然としている。

 学校のみんなや近所の人に知られたら、きっと幻滅するだろう。

 しかし、その前にオレが世話を焼いてしまうので、バレることはなかった。



 そんな、オレがしのぶの言動を間違えるはずはなく…。

 12月に倒れて、意識が戻ったしのぶが、オレのことを『雪次』と呼んだ………。

 一発でわかった。これは、オレが知る『しのぶ』では、ないと…。

 それからは、注意深く『しのぶ』を観察することにした。

 受験勉強を控えたオレは、頻繁に病院に通うことは難しくなったが、それでも、オレは暇があれば病院にいる『しのぶ』に会いに行った。



 ある日『しのぶ』は、歩くリハビリに入る。

 オレが知るしのぶは、人より生きることに貪欲だった。

 リハビリをする時は、歯を食いしばっていても頑張る…いや、頑張り過ぎて身体を壊してしまうことが、多々あった。

 しかし、今の『しのぶ』は、どこか身体を恐る恐る気遣うように動かす。まるで、初めて動かす身体のように…。



 そのまたある日、『しのぶ』が勉強していた。

 その光景にオレは呆然とする。

 『しのぶ』は、オレの姿を確認すると、ワタワタッと勉強道具を片付け「へ、編入する時の勉強!」と、言うけど、それは、オレが知るしのぶではない。

 オレが知るしのぶは、一言で言うと馬鹿だ………。何度教えても同じところで間違えるし、身体が弱いから集中力も途切れがちになる。

 しかも、それにもまして勉強嫌いだ。間違っても編入試験の勉強など自主的にしょうと思わない。



 確認したからには、次には追及を………そう思って、確信をつく言葉を発しようとすると、『しのぶ』は、オレの邪魔をする。

 オレと会うたび、『しのぶ』は身体に力が入り、顔が強張る。

 そのたび、オレは『しのぶ』の本当の笑顔がみたい思う。



 『しのぶ』の本当の笑顔がみたい………これは、どういう感情なのだろう?


[後退〜♪][前進〜♪]

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あきゅろす。
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