[携帯モード] [URL送信]

死神とダンス♪
14.記憶喪失になってもらいますぅ♪

 事情説明を終えても、状況は何も変わっていない…地獄行き決定の俺(小田桐君にバレたため)………。

 ここは、この事情も説明し、俺(松下忍)を現況で知っている小田桐君にでも、さよなら言っておくか…。

「あのなぁー、小田桐君、杉崎君の身体をもらう際、契約として―――」

「待ったぁ〜、忍クン!その『契約』には、普通の人間に知られてはいけない事項もあるのでぇ〜、私こと死神から説明させてもらいますぅ〜」

 もう、どうせ地獄行き決定なら、全部ぶちまけてしまいたい…。

 正直この時そう思ったのだが、珍しく死神が真剣な顔をしていたため(口調は馬鹿ぽいけど)、口を噤むことにする。

「雪次クン、実は、しのぶクンから身体を貰う時、忍クンに閻魔サマからの条件として、当然人に知られてはいけないって、項目があったんだよぉ〜」

「え!?でも…」

「そう、さっき雪次クンはぁ〜、言葉で真実を言っちゃったから、忍クンは罰として『地獄行き』に決まっちゃったぁ♪」

 死神なぜ最後に『♪』マークまで、つけて喜んでいる!今は、俺の深刻な話しだろーーー!!



 その後、死神から今の俺の身体の弱い理由とか、魂と身体が融合されると真実俺のモノになるとかとの話しはしたが、『1年以内に俺を本気で愛する者が現れなければ、地獄行き』の話しは出ることはなかった。

 もしかしたら、この話しをすると同情で、小田桐君にそんな感情が生まれるのはまずい、とのことなのだろう。

 で、今の状況が状況なので、次の俺の台詞はこれしかなくて…。

「ごめん、こんなことになって、せっかく杉崎君から身体もらったのに、バレたら『地獄行き』って、決まっていて、俺これから………」

 俺は俯き、口を閉ざす。

 本来ならここで涙でも見せれば、俺に同情する読者もいるだろうが、死んでから俺の性格は大いに変わった。これも一重に復讐のためだ。

 で、この次に俺がとった行動は、もちろん………。



「死神、一発、いや、100発殴らせろー!それで、記憶喪失になって、小田桐君の言葉を忘れるんだー!…いや、面倒だ、いっそ死ねーー!!」

 先ほどまで、勉強していた時に使っていた分厚い辞書を振りかざし、死神に迫る。

「初めの言葉は、丁重にお断りしますぅ〜!しかも、最後の言葉は、マジでしょ〜!?忍クン、目がマジ、怖いですぅ〜!」

 俺は身体と魂が融合されていないので、軽やかに逃げ回る死神を追いかける体力はなく、すぐにバテて絨毯の上に転がることになる。

「はぁー、はぁー………くっそ〜!こうなるんだったら、アイツ(幼馴染)を殺しに行けば良かったーー!!」

「えっとぉ〜、実は、忍クン………雪次クンにバレても、地獄に行かなくてもいいんだよぉ〜」

「はぁ〜!?」

 絨毯に転がったまま、死神を間抜け面で見つめてしまう。

 それは、倒れた俺を抱き起こそうとしている小田桐君も同じだったようで、動きが固まる。


[後退〜♪][前進〜♪]

14/18ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!