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死神とダンス♪
93.その後のぉ♪A(Side.死神)

 俺は大画面に映し出される濡れ場を食い入るようにして見ていると、不詳の弟子…しのぶが俺から少し離れたところから、質問してきた。

 答えるのはやぶさかではないが、死神に関することではなく、俺自身のことであって珍しく言葉に詰まる。

 ふだん、今、俺に質問しているのは、大画面いっぱいに映し出されている光景を少しでも逸らしたいのが理由であるようだが、TVのスピーカーから「あぁぁん…雪次ぃーーー!」とか「忍、もう一回」など声が聞こえるたび、真っ赤になっている、しのぶに、これ以上見せるのも教育上悪いと思い、しのぶに向き合う。



 ちなみに、しのぶの教育上悪い………などと一度思い、その場を離れられるよう「煎茶をいれて来い」と言ってやったのに、なぜか俺のミニキッチンが先ほど全壊しやがった。

 それで、しのぶに何も触るなっと言った手前、暇を持て余しているのがわかるので、少し昔を語ってみようと思う。

 質問された内容は、忍にも聞かれたことだ。

 大事な俺の鉄扇・藤香や死神の階級を降格してまで、なぜ忍を助けたか?

 話は長くなる………。それまで、忍と雪次の濡れ場が終わらなきゃいいな…何てこと考えながら、話し始める。


*****

 むかーし、昔(決まり文句だから、ここから始める)、あるところに男女が仲睦まじく、過ごしていましたとさぁ。

 男女はまだ夫婦になっている訳ではなく、恋人同士で、その夜、逢瀬を楽しんだあと、男は女を家まで送ることにした。

 道半ばまで進んだ頃、顔を隠した1人の賊が男女の前に突然現れた。

 男は女を庇い、背に太刀を浴びてしまう。

 女はそのまま逃げてしまい、男は自分の背から流れる血の量に死を覚悟すると、ここで死神登場!

 死神はあっさり男の魂を狩り、この物語はおしまいになるはずだった。

 が、ここで男は閻魔と対峙し、己が今宵、死ぬ予定ではなかったことを知る。

 死神が本来魂を狩るはずだったであろう男と背格好が似ていたため、間違えられたのだ。

*****



「で、その男は、忍と同じ【契約】を交わし、別の人間として第二の人生を歩むはずだった」

「『だった』って、ゴウエン師匠、それはどういうことですか?」

「その男は女を殺したんだよ…」

「えっ?」

 驚いているしのぶをよそに、俺はその時のことを想い出し苦い顔をする。


[後退〜♪][前進〜♪]

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あきゅろす。
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