死神とダンス♪
92.その後のぉ♪@(Side.しのぶ)
「おぉ〜〜〜、さすがは雪次クン、行動が早いね。おっおおおぉぉぉーーー、忍クン高速で押し倒されているよ〜」
「ゴウエン師匠、大画面のTVで地上の様子を映さないで下さい!!しかも、松下君の姿は俺と瓜二つで………さすがに僕も…」
『いたたまれません』と、続く言葉は、画面いっぱいに幼馴染であった雪と松下君の濡れ場が映しだされていて、下を向いてモゴモゴ言うのが精いっぱいだ。
僕が今いる場所は、真っ白な壁にベッドやソファーや大型画面のTVが置かれた殺風景な部屋。
雪と松下君と別れたあとここに来たのだけど、ゴウエン師匠からは、「俺の部屋だらから寛いでいろ」の言葉だけで、自分はTVを何やらいじくっていたかと思ったら、この………映像が映し出されて、今に至る。
僕はっというと、何もすることがなく………それでも、その雪と松下君の濡れ場など、正気で見ていられる訳もなく………それでも、松下君の色っぽい声が聞こえるたび、真っ赤になってしまう。
声は前の僕とどことなく違うように聞こえるのが救いだけど、姿は僕。
………少し、悔しいかな?僕も雪が好きだったから…。
雪は全く気付いていなかったし、僕も気持ちを打ち明けられなかったけど、きっと告白しても玉砕だったかな。
僕も松下君みたいに強い人だったら、雪に好かれていたかな?
クスッ。
笑いが漏れた。生きていた時は、自分の容姿を人からよく羨ましがられた。
でも、雪だけは、そんな僕に普通に世話するだけだった。
雪は容姿で惚れることはない、中身で松下君を愛したんだ。
「松下君、雪のことよろしくね。僕の『オカン』なんだから、幸せにならなきゃ、魂を狩りに行っちゃうぞ!」
今だ大画面に映し出されているであろう、松下君に呟く。
もちろん、僕はずっと下を向いたままだったが、何となく松下君に僕の気持ちが届いているように思えた。
「しのぶ、こんないいシーンが見られないなら、煎茶いれて来い。部屋の端にミニキッチンあるから」
僕があまりにも真っ赤になっているから、助け船を出してくれたゴウエン師匠。
その言葉は嬉しいけど、不器用な僕にできるかな?
一瞬ためらっていたけど、TVのほうでは盛り上がりの声が聞こえて、松下君の高い声が聞こえた途端、僕は走ってミニキッチンに向かう。
あ、そうそう、ゴウエン師匠のこの口調、松下君には嘘をついたが、こっちが素で、仕事時はあのユルユル口調にしているんだって。
何でも、素で魂をあの世に連れて行こうとすると、どの魂もゴウエン師匠にビビって仕事にならないらしい。
何でなんだろう?とっても、いい人(?)なのに?僕はそう思ったのに、どうやらそう思っているのは僕だけらしく、のち、他の死神達に僕は『大物』のレッテルを貼られる。
補足…当然ながら煎茶をいれるはずだった僕は、やっぱりミニキッチンを破壊した。(※雪次以外は当然と思わない)
ゴウエン師匠はカンカンに怒っているのだけど、なぜか楽しそうにしていて………。
そんなに雪と松下君の濡れ場が良かったのかな?などと、僕は首を傾げていた。
[前進〜♪]
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