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死神とダンス♪
08.お勉強ですぅ♪

 決ったからには、即実行!と、ばかりに死神は、どこから取り出したのか大鎌を手にし、柄の部分で、ケータイのボタンをピッと押す。

 しばらくして、ケータイからは、「何かあったのか、しのぶ?」と、低い声が聞こえ、数秒後には「大丈夫か、しのぶ!!」と、焦った声も聞こえてくるが、誰も返答せずにそのままにしておく。

 死神や霊体である杉崎君の声は、当然ながら杉崎君の幼馴染には届かない。

 俺の声は、叫べば聞こえるはずだけど、この時、死神から止められた。



 そのうち、ケータイから「今、そっちに向かう。救急車も呼んだから、頑張れ!」と、言う声が聞こえ。

 死神は、これを狙っていたのかー、何てのん気に思っていたら、死神からありがたいお言葉が…。

「そんじゃぁ〜、ここからちょっと別行動になるよぉ〜。私はしのぶクンの魂を運ばなきゃならないしぃ〜、そのあと、閻魔サマとお話ししてくるからぁ〜、忍クン、悪いけど気絶していてねぇ〜」

 そう言うやいなや、俺は死神の大鎌の柄で頭を殴られて気絶させられる。

 遠くから、杉崎君が「頑張って、僕の分まで幸せになってね」と、切ない声が聞こえたが、俺は返事もできないまま、暗闇に包まれる。



 杉崎君に俺本来の目的を話したら、身体をすんなり貰えていただろうか?

 人見知り激しく身体も弱かった杉崎君だが、誰よりも一生懸命生きていたように感じる。

 そんな一生懸命生きた杉崎君の身体を俺は………それでも、俺は『復讐』したい。

 でも、それも杉崎君の幼馴染にバレないでいられたらの話しなので、目が覚めたらどうにかしないといけないんだろうな。






 目が覚めると、一番初めに死神と出合った時の空間に俺はいた。………なぜか、死神も一緒に…。

 俺は慌てて、霊体の透けている身体を見ると、まだ俺(松下忍)。

 もしや、俺の気付かぬうちに誰かにバレた!?

 寝ているだけでバレるとは………。

 杉崎君の美少年の身体に中身が平凡な俺…誰かエスパーでもいたのかーーー!!

 訳がわからず、ムンクの表情をしていると、死神はなぜか満面な笑みを浮かべ「勉強のお時間ですぅ〜」何て、言われて………思わず、俺は死神を殴っていた。←さっき、殴られた怒りも込めて。



 死神は殴られた頬に手をあて、俺に分厚い紙束(資料)を渡す。そこには…。

【杉崎しのぶ物語ぃ〜♪生年月日ぃ〜/○年○月○日だよぉ〜。性別ぅ〜/男ですぅ〜。父ぃ〜/―――】

 明らかにこれを製作したであろう人物がわかる。死神、お前文章まで、こんな風にして…閻魔様の苦労が何となく想像できてしまう。



「もしかして、これを覚えろと?」

「あったりぃ〜!もちろん、ここにいる間はぁ〜、忍クン改めしのぶクンの身体は意識不明状態だからぁ〜、早くそれ覚えてねぇ〜」

 死神曰く、それ(資料)を読むまで、身体に還れないそうだ。

 記憶喪失としても良かったのだが、そんな芸当俺には無理だと判断されたようだ。

 俺自身そんな高等な演技ができないので、大人しく杉崎君の資料を読むことにしよう。

 幸い、俺は、記憶力抜群で教科書は一度読むと忘れない特技もある。

 さぁ、勉強開始だ!!


[後退〜♪][前進〜♪]

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あきゅろす。
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