[携帯モード] [URL送信]

俺の幽霊事件簿まとめ
File.14

 北斗は数分間項垂れていたものの、再度挑戦し始め何やらグチャグチャと呪文のようなものを繰り返し、数珠片手に一所懸命頑張っている。

 俺は北斗の足元に健気なキリッと立っている(?)、白蛇・耀姫の側に腰を落とす。

「あのー、1つ聞きたいことがあるんですが、いいでしょうか?」

 俺が白蛇・耀姫の目を見て聞く姿は、あまりにもシュールなのでスルーしてほしいが、白蛇・耀姫のほうは、首を傾げるように赤い舌をチョロチョロし、きれいな鈴のような心地よい声を響かせる。

〔ほぅー、人間に放し掛けられるとは、久しいこと…。もしや、わたくしの声もそなたに届いているのか?〕

「残念なことに届いています。で、質問をしても?」

〔あなたは、何やら不思議な人ですね。質問は我が主に害のないものなら答えましょう〕

 どうやら、物腰やわらかい口調から、この白蛇がメスであることがうかがえる。



 それにしても、掛け軸の彩子さんと比べるとずいぶんの違いが………いや、妖怪と守り神を比べていけないよな…。

「ありがとうございます。あなたのことは猫又の華さんを通して知っているのですが、その時、華さんが北斗のことを『良き気を纏う…』と、評していたのですけど、もしかして、北斗は霊を寄せ付けない護符を身についているか、あるいは、あなた自身が霊的外傷から守っているのでしょうか?」

 俺の言葉に白蛇・耀姫は「ほっほほほっ」と、目を細め楽しそうに笑う。

「北斗さんは、護符など身につけておりません。そして、わたくしも北斗さんに守りの何かしらのことを行なっていることはありません」

 うん、それって何もしてないってことだよな?

 だったら、何で北斗は霊的モノが近寄れないんだ?

 そう、一つの結論として、北斗自身に護符や白蛇・耀姫が何かをして、霊的なものが近づけないのではないか?と、俺は考えたのだが、どうやら違うようだ。

 俺が首を傾げて、いまだ熱中し除霊を行なっているらしい?北斗を見つめていると、白蛇・耀姫が意外なことを明らかにする。



〔あまりにも不思議思なことで、わたくしも驚いたことなのですが、北斗さんは北斗さん自身が護符のようなものなのです〕

「はぁ!?それって!!」

 もしかして、北斗が護符そのものだということは、霊的なモノには最強な人だったりするんでしょうか!?

 俺の声に出してこの疑問を口にしたら、白蛇・耀姫は肯定するように首を縦に振り。

〔はい、あなたの想像どおり、『人間護符』と言えばよいのでしょうか?北斗さん自身は、きちんと陰陽師としての力はありますけど、北斗さんが『人間護符』である限り、その力を発揮する場は来ることはないでしょう〕



 『人間護符』………なるほど、だから、幽霊王子も近づけないし、ザコなんてほんとうのザコだし、北斗に近づけないのか。←ザコは、近づいただけで除霊されてしまうようだ。

 そして、いまだに頑張っている北斗には悪いが、そこの3対の妖怪達も姿をあらわすと、北斗が『人間護符』のため、除霊が作動することから、必死に奥底に潜んでいるのだろう。



「はっはは。北斗が幽霊を視えない理由は、視えないんじゃなくて、ただ単に霊的なモノが近寄れず姿を見せられないっと、言ったほうが正解なのか…あはっ、なるほどね〜」

 俺は校庭で1人、乾いた笑いを発するが、それに気づくものは白蛇・耀姫だけだった。


[*祓い給え][清め給え*]

15/23ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!