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俺の幽霊事件簿まとめ
File.4

「だから、じいちゃんが言ったんだ!!『賀茂家』の汚名を返上のためにも、今一度、式部家に勝負を挑み、そして勝ち!!この地、いや、日本で一番の陰陽師だと証明しろと!!」

 突然、賀茂は席を立ち右腕を高くつき上げ宣言し始めた。

 何気に左手で握りしめているイチゴオレが溢れて、大変なことになっている。

「………」

 俺はその様子に呆気にとらわれ、熱血する過ぎる賀茂家に遠い目になる。

 これって、イコール本当はじーちゃん同士のいざこざを孫になすりつけているって、ことだよね…。

 賀茂のじーちゃんからしたら、復讐相手の俺のじーちゃんがいないための苦肉の策かも知れないが、俺的には巻き込まれる意味がわからん。



 それに俺は………。

「ごめん、賀茂、その勝負は受けて立てないわ」

「なっ!?逃げるのか!!」

「いや、ただ単に俺は幽霊が視えるだけで、除霊や陰陽師のたぐいの術は使えないから」

 俺がそう言った途端顔を俯き、ブルブル震えだす賀茂。

 ヤバイ、怒らせたか?



 しかし、数分後、賀茂は顔を上げたかと思うと、瞳をウルウルさせながら「同志っっ!!」と、俺に飛びつくように抱きつく。

 その姿は予想外なので、合川はもちろんクラスメイト達も驚くが、それより一番驚いているのは俺だ!!誰か、助けろ!!

 俺は椅子に座っていたため、抱きかかえられるような形になっているが、男子校特有の危ない雰囲気を醸し出しているのに気付いていない賀茂は、泣きながら『同志』と言った意味を説明し始める。

「ぼくは幽と反対で、陰陽師の術は使えるんだ………と、いうか使えると思うんだけど、ぼくは幽霊が視えなくて………陰陽師としては欠陥品なんだ!!うわぁぁぁぁんんん!!」

 そう言ったきり大泣きし始める賀茂。



 それから俺は必然的に慰めなくてはならなくて…てか、この展開に驚いた合川もクラスメイト達も呆然として助けてくれなくて、俺は自分の制服を守るために賀茂を慰めるしかなかった。

 でも、結局ジャケットは涙と鼻水でグチャグチャになり、クリーニング行きになったんだけどね………。

 これって、賀茂に請求していいのか?


[*祓い給え][清め給え*]

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