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俺の幽霊事件簿まとめ
File.2

 その船は黄金いや、俺には神々しくて目を開けていられない。

 背後ではきっとお経が唱えられ、船に乗っているのはえらい坊さん………てか、助けてくれた人物の実家が寺なんだけどね。

 合川剛健(あいかわ ごうけん)、俺の前の席に座るF組のクラス代表(※学級委員長だと思って下さい)が、賀茂の行く手を遮るように俺の前に立つ。

「「「おおっ!!神だ、仏だ!!」」」

 さすがのF組の連中も、すっと立ちニコリっと笑みを浮かべている合川にこんな台詞が飛び交う。



「賀茂北斗君でいいのかな?このクラスで喧嘩はご法度だよ。しかも、まだ自己紹介をしてもらってないんだけど?」

「『喧嘩』じゃない!『勝負』だ!!自己紹介はお前が名前を言ったからいいだろ!」

「…喧嘩ではないのなら止めないが、これから授業に入る訳だし、その話し合いが長くなるようなら、昼休みにしてくれるかい?何なら、オレが式部を確保しておくから」

 この合川の台詞に賀茂は渋々ながら折れ、俺様先生に自分の席を教えてもらい大人しく座る。

 もちろん、賀茂はずっと俺を親の仇であるように睨んでいるのだが、その目が切れ長で睨まれる俺としてはたまったもんじゃない。

 今が夜なら、あの切れ長の目からビームまがいの光が発せられているような気がする。



 で、俺を売った合川というと、丸坊主の爽やか青年の表情に変わり、一仕事終えた喜びに満ちている…て、オイ!!

 俺はもちろん抗議した。

 合川は俺の前の席なので、ガンガン、椅子を蹴り上げ「何俺を売っているんだー!!」と、小声で絶叫するが、さすがF組のボス。

「このままだと授業妨害され、オレの評判が落ちる。オレは来期には放送部部長の座を狙っているのにこんなところで躓いてたまるか!」

「………(そんななんで、俺を売るのか…)」

 思わず絶句するのだけど、宇佐原八緒(うさはら やお)こと俺の幼馴染が、放送部とは櫻ヶ丘学園では裏の権力者とされているので、部長を狙う合川には死活問題なのだろう。

 てか、相川よ。ここF組を牛耳っているだけでも凄いと思うのに、その上を狙っているとは………うん、こいつには決して喧嘩は売るまい、俺は心に誓った。


[*祓い給え][清め給え*]

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あきゅろす。
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