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俺の幽霊事件簿まとめ
File.1

「ぼくと勝負だ!!これに勝ったらぼくがこの学園で一番の陰陽師だと認めろよ!?」

「はへぇ?」

 1人の黒髪を腰近くまで伸ばし、背の半ばで巫女さんみたいに白い紙で束ねた髪型の少年が、切れ長の目を鋭くしビシッと俺を指さし宣言する。

 もちろん、俺こと式部幽(しきぶ ゆう)は、いきなりの展開に間抜けな返事をするが、冒頭の発言では仕方のないことだろう。

 出会いは突然………とは、言うものの、できれば一生出会いたくない人種に、遭遇してしまったようだ。



*****

 事の始まりは、数日前といいたいとこだが、数分前………櫻ヶ丘学園高等部1年F組に、6月という中途半端な時期の転校生………賀茂北斗(かも ほくと)が来たことにより、この状況が起こった。

 そう言う俺も、1ヶ月前…5月の半端な時期の転校生だが…。



 賀茂ははっきり言って、馬鹿か…と、思うような格好で教室にあらわれたのだが、連れてきた教師である俺様先生(穂積晶(ほずみ あきら)先生)をはじめF組の生徒は動揺などせず、普通にしている。

 彼の恰好がどうみても一部制服ではないのにだ!

 ここ、櫻ヶ丘学園の制服はブレザーなのだが、上がどう考えても祓い屋さん…陰陽師の平安時代の衣装に下がここの制服のズボン…。

 どう考えても、誰か1人くらい突っ込んであげたほうが………と、思うのだが、ここはF組。

 通称奇人変人の集まりの芸能科、このくらいで『動揺』という文字は存在しないようだ。

 ぼんやり、そんなことを考えていると、俺様先生が珍しくにこやかな表情で転校生の名を黒板に書き、転校生に自己紹介するようにっと言って、冒頭の台詞に戻る。

*****



 さて、俺はいったい何の勝負に挑まれているのでしょう?

 さっぱりわかない状態ではあるが、『陰陽師』という単語で、とてつもなく嫌な予感がする………と言う訳で、ここは丁重にお断り。

「お断りします」

 席に座った状態であるが、ペコリッと頭を下げ返事すると、賀茂の切れ長の目が一層鋭くなって(←要するに睨まれている)、これはマズイかも…と、思っている側から、ツカツカツカツカやけにきれいな姿勢でこちらに向かってくる賀茂。

 オイ!俺様先生、賀茂はまだ自己紹介もしてないだろ!!止めろよ!と、心の中で大絶叫中の俺は、廻りにも助けてもらおうと目を泳がしSOSを送るが………うん、みんな面白がって助けてくれる気はないようですね…。

 さすが、奇人変人の集まりF組、団体行動が苦手で個々としていて、協調性がなくて………て、それは同じクラスにいる俺も含まれるのだけど、せめてこの場で1人くらい助けろよーーー!!

 しかし、こんな危機的状況にある俺に助け舟があらわれた。


[*祓い給え][清め給え*]

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