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俺の幽霊事件簿まとめ
File.8

「で、コイツが転校生の式部………だ。俺様からのありがたい忠告だ、コイツには絶対喧嘩を売るな」

 俺様先生が、黒板にいやにきれいな文字で『式部幽(しきぶ ゆう)』と書き、真面目顔で俺を紹介する。

 何気に、俺様先生は、宣言どおり俺の名前を省いて言わなかった。

 オイ、こんなことしていたら、お前の弱点バレるんじゃねー?なんて、思っているが、今はそれよりもクラスメイトの反応だ。

 たぶん、俺様先生はここでは人気があるんだろう。…その、アッチ系の奴にも。

 そんな奴に喧嘩を売った俺は、生きて3年間ここで過ごせるのだろうか?



 俺がビクビクと教室内を伺っていると、どうもクラスメイトの反応が変だ。

 さっきの様子から、きっと、「平凡君(俺)が痛い髪の染め方しているよー」とか、悪口のオンパレードだと、思っていたのだが………。



「晶先生の言うことには、絶対服従☆」

「俺様先生に恐れられる転校生………。間違っても喧嘩売るかよ!」

「僕は芸術にしか興味がない。従って、転校生は空気だ」



 上から、たぶん、俺様先生のアッチ系のファンの子…『穂積先生のためなら…俺受入派』。

 次は、俺の訳のわからん力にビビリつつも、何とか受け入れる…『仕方がなく俺受入派』。

 最後は俺にもさっぱりだが、このクラスは芸能科だから少し変わり者が多いのだろう…『俺空気派』。

 う〜ん、初めて反応だ。

 10歳のあの事故以来、どのグラスメイトの反応も、俺と係るのを拒否することがほとんどだったのに…。

 ここって、金持ち学校だからかな?

 よく、わからないが、受け入れてくれたことでよし!としよう!!



「そんじゃ、ここのクラス代表…合川!」

「はい」

「お前に全面的にそいつの世話を頼む。式部、お前の席は合川の後ろだ。ホラ、イケ!」

 オイオイ、俺はペットですか?俺様先生。

 まぁ、あれだけ怖がらせたのだから、この反応は正常かな?



 俺はのんびり、クラス代表(たぶん、普通の学校では学級委員長だろう)の合川に近づく。

 合川は、いまどき珍しい坊主頭のキリッとしたスポーツマンってな感じの奴だ。

 野球部でいうとキャッチャーとかしてそう。

 合川の席は窓側の一番うしろの1つ前だった。と、いうことは、俺の席は前のド田舎高校と替わらず窓側の一番後ろか。

 この学園で目立たず過ごすには、いい席だな。


[*祓い給え][清め給え*]

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