俺の幽霊事件簿まとめ
File.9
午後一番の授業は、俺の一番嫌いな英語だった。
俺はもう一生外国には行かないことを誓っているので、当然、授業内容は全く聞いていない。
俺の席は窓側の一番後ろ。
どうしてこの席かというと、どうも席替えの時に俺はいなくて(その時またしても幽霊さんに遭遇していたため)、クラスの皆に勝手にこの席にされていたわけ。
理由としては、前の座席で気味の悪い行動されるより、一番後ろで何かしてくれたほうがマシとか何とか。
今では後ろの座席は、魔の座席として恐れられている。
他の教室では考えられないことだ。
ちなみにこの席になった理由を教えてくれたのは、教室に漂う浮遊霊達だ。
それにしても昼飯抜きは辛いな………。
僕はあまりの空腹状態で、その辺のザコに声を掛けてみる。
もちろん、小声だ。
あっ、ザコというのは、いわゆる古い浮遊霊ではっきりとした形はなく、人魂くらいの可愛いものだ。
「………お腹すいた…。そこのザコ10号、なんか食べ物もってないか?」
俺はザコキャラから、浮遊霊をザコと呼んでいるが見分けはあまりつかない。
ちなみに、番号はその日の気分で変わるためかなり適当だ。
〔えっと、私共は浮遊霊ですので、食べ物はちょっと持ち合わせていません〕
当たり前だ、俺も持ってないことは承知済みだ。
ザコ10号も本気にするな、ちょっと言ってみただけだ。
「………そんじゃ、そこのザコ12、13号、俺の空腹感がまぎれるように漫才でもしてよ」
近場を通り過ぎようとしていた(逃げ出そうとしていたとも言う)、ザコ2匹を指定し、暇つぶしをしようと試みる。
〔〔えっ!私共が漫才ですか?〕〕
「そうそう、早くして」
俺がそう睨みを利かせて、ザコ12、13号を見ると、顔を青ざめ(人魂のため顔色はない)こそこそ話し合っている。
〔これでいくぞ、13号〕
〔は、はい!じゅ、12号〕
お、ノリのいいザコだ。
俺の言った番号をそのまま呼び名にしている。
〔12号、今日はいい天気だな〕
〔はい、13号、いい天気ですね。そう言えば、テスト勉強のノートをコピーしてきました〕
〔ほう、で、コピーの代金はいくらだ〕
〔御代はえ〜よん(A4)〕(※A4は用紙のサイズ)
ヒュ〜〜。
寒い…いくら空腹でも、これからはザコどもに漫才を頼むのは止めよう。
そんな空気が俺達(俺+浮遊霊ザコ2匹)の間で繰り広げられていると、突然、英語の教師が僕の名前を呼んでいた。
[*祓い給え][清め給え*]
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