LOVE GAME ■Battle.65 練習中、たしかに、四季ならここに来るだろうっというところにパスを送っていた。 しかし、まさか練習中あれほどタイミングが合わなかったのが、ここにきて!? 絶妙なパス…自画自賛ながら、自分を褒めるがそれよりも流れるような四季の動きに目が奪われた。 怪我をしている四季ではあるが、目がうしろにあるのではないか思うほど、うしろからきたオレのパスを正確に受け止める。 それだけで、もう四季がゴールを決めていることを確信することができた。 ピピッーーーイ!「ゴォォーーールゥ!!」 審判の笛が鳴り響く中、オレは心の中で、「四季なんだから、あれくらいは当たり前だ!」と、なぜか自分ことのように喜んでいた。 四季は笑顔全開でオレのところに駆け寄って来る。 もちろん、オレは役得♪とばかりに、抱きついてくる四季を抱きしめるが、これはまだまだオレ達の前哨戦。 次の試合はもっと、更に次の試合ではもっともっと、四季を輝けるようにする。 四季を抱きしめたまま、そんな誓を立ててみるが、それよりも、オレって今、四季との実力差は上?それとも、まだ下? とても、気になる。 「昴君、今日は素晴らしかったね!…でも、四季に比べると、まだまだだね。ふっ(失笑)」 四季との実力差は、気になるとは思っているが、サッカーが全く分かっていないヤツにいわれるほど、ムカつくことはない。 たとえ、四季の兄である…淘季さんでも。←淘季はサッカーのことはよくわかっていません。 なぜか、試合後移動途中で淘季さんと出会ってしまう。 いや、あちらも身内(四季)を応援するのは、不自然ではないが、なぜ、1人になったオレに声を掛ける! しかも、わざわざ嫌味付きで!! それでも、どうにか「精進します」と、笑って答えた自分を褒めたい………かなり、引きつった笑みだと自覚済みだが。 「ところで淘季さん、オレと四季の連携、凄かったでしょう?」 「う゛ぅうう…」 「いえいえ、何も言う必要はありませんよ〜。これからも、何回でもアノ光景を見ることになりますからね〜。はっはははは」 最後は、高笑いするとともに「四季越え近し!」と、淘季さんの耳元に呟き、やっと溜飲を下げる。 淘季さんのあの表情だと、四季より上だと認められるのは近そうだ。 さて、そろそろ、真面目にトミちゃんから、モロモロのことを学ぶべきかな? O大学サッカー部で用意されたバスに乗り込む際、ニヤリッと笑うと、先に乗り込んでいた四季が、なぜかブツブツ独り言を呟いていた。 [■負け] [戻る] |