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LOVE GAME
□Battle.16

 ピリピリする部室空気………何もこれは試合が始まるからではない。

 明津が威嚇全開で、僕に喰ってかかっているからだが、ここで竜也や他の部員が口を挟まないが眉をひそめているのが見えた。

 このままいけば、試合前にチームワークが乱れる。

 高校ではトップクラスに入るであろう、明津。

 高校時代、サッカーの成績がパッとしなかったのは、チームで明津以外の選手がダメダメだったからだ。

 それでも、全国に行けたのは明津の力が大きい。

 だが、ここで高校と同じように考えてもらったら困る。

 サッカーは個人でするスポーツではないのだから…。

「明津、お前はサッカーをなめているのか?それとも、O大の…僕達のサッカー部をなめているのか?」

「えっ?」

 ここで、明津も自分の発言がいかにマズイものと悟ったようだが、それでも、僕を見る目が…。



「監督、明津は後半からラスト10分前まで司令塔MFでお願いします。神田は前半だけ司令塔MFになるけど、指示はさっきのとおりで…」

「斉藤君、それは明津君のテストみたいなものかい?いや、それより、ラスト10分前までって、そのあとは………もしかして、斉藤君がピッチに出るのかい?」

「もちろん!O大サッカー部が新入りになめられるのはまずいでしょ?それに、明津には自分の力が『今』どれほどのものか、わからせないと」

 僕が監督にそう笑いながら言うと、ザワッと新入生以外の部員がざわめき、「よし!今日の試合は頂いた!!」とか、「今回は司令塔MFかー」などと、声が上がる。

 新入生は、僕に技術面で指導を受けているが、それはボールを使った指導ではなく、口でのアドバイスがほとんどだ。

 軽く動きで教えることもあるが、それでも、僕が選手で出るとは意外という感じで、1年は目を丸くして僕を凝視する。



 その様子に森キャプテンがニヤリっと笑い、僕の肩に腕を回す。

「斉藤アシスタントコーチは、GK以外はすべてこなせるぞー!!明津以外の1年は、今日の試合で見学となるが次はわからん、死ぬ気で技術を盗めるようにしろ!!」

「「「は、はいっ!!」」」

 戸惑いの返事が、まるわかりな1年………明津以外の1年も僕のことを選手として、なめているようだ。

 明津ではないが、僕もキレていいかな?


[■負け]

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