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男前なんかじゃない!!
22.体育祭挨拶。

「それでは、ここで各団長から皆様に激を飛ばしてもらうことにしましょう。それではまず、赤組団長の結城宗次郎君から!」

 体育祭執行部の司会者から名指しで指名された、ぼく。

 今ぼくがいる場所は、グランドに作られた特設ステージ壇上。

 で、ぼくの他にも当然ながら生徒会会長候補の2人もいるのだが、なぜかここで皆様達に激を飛ばせっと、無茶振りされています。

 ここで立っているだけでも、みんなから黄色い(気持ち悪い)声が上がるのを必死で耐えている、ぼくに更に何しろっていうのさぁー!!もう、お家に帰りたいよ〜、兄ちゃん、姉ちゃん助けて〜!!

 そんな風にぼくが呆然と立ち尽していると、同じ1年の生徒会候補の一条寺カイリ(いちじょうじ かいり)くんが、ぼくをマイクの側まで蹴り飛ばす。

 転ばなかったものの、そんなこと親にもされたことのないぼくは心で半泣き(俺様キャラのため、グッと耐える)。痛いよ〜、帰りたいよ〜。



 はて?ここで質問。

 この場で、どのような言葉を発すればいいのか?

 兄姉と相談した時、体育祭は『俺様キャラ』。

 なら、当然ここでも『俺様キャラ』で、挨拶すればいいのだろうか?

 う〜〜ん、俺様キャラならどのような言葉を掛ければいいのか………。

 悩んでいると、何やら皆様達から熱い視線が………あまりにも言葉を発しないぼくに痺れを切らし、ざわついているようだ。



 マズイ!!

 この時のぼくは、何でもいいからしゃべらなくちゃという危機感で頭は真っ白。

 それでも、『俺様キャラ』だけは忘れていなかったようで…。

「おれは、生徒会会長など興味はない。よって、赤組は自らで判断し競技を楽しめ。だからと言って、おれに世話を焼かせないように問題は起こすな」

 …こんな感じでいいのかな?心の中でホッと一息入れると、赤組からすごい歓声が…。



「きゃ〜、宋次郎様。いつもはクールなのに今日は熱いね!」

「この状況で楽しめって、かっこいいよな、さすが会長候補」

「宋次郎君は、生徒会会長になるべく生まれてきたような人だよ!僕達(隠れ)親衛隊は、全力で競技に挑みまーすっ!!」

「いつもの会長候補は、『優勝しろ!』とか『必ず勝て!』とか、言うのに、1年生ながら先生達に会長推薦されるわけだよ〜。これじゃ、他の候補者形無しだな…」

 あれ?何かぼく間違えた?ただたんに力を入れないで、負けてくださいって、言いたかったんだけど…。

 それに、他の組からもぼくを応援する声がちらほら。なぜに???



 その後、なぜかそのあと激を飛ばした他の候補者には、あまり良い反応がないまま終わった。


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