男前なんかじゃない!!
02.異変。
「うぅぅ………。お、おはよう、ティーちゃん」
あっ、自己紹介が遅れました。ぼくの名前は、結城宗次郎(ゆうき そうじろう)。
趣味は、お菓子作りと手芸です。
目が覚めて、日課になっている枕元のテディベアのティーちゃん(これも自分で作りました)に朝の挨拶をしている時、異変に気づいた。
ほんとうは、中三の秋なんて受験戦争まっさかり…のはずだが、ぼくは地元高校の安全圏内に受験することが決まっていたので、それほど切羽詰っていない。
しかも、兄ちゃんと姉ちゃんがぼくのために家庭教師を買って出てくれたので、勉強のほうも順調に進んでいた。
そのためいつも朝は、ゆっくり起きているのだが、何となく身体の節々が痛いような?
「風邪かな?そう言えば、何となく声も変な感じがする…」
そう思いつつも、それ以外特にこれといった症状がなかったため、身支度を整え家族がいる居間へと向った。
「宋ちゃん、おはよう!」
「「おはよう」」
扉を開けると、いつものように母さんが挨拶し、父さんと兄ちゃんもそれに続く。
「お、はよう」
ぼくもいつものようにニッコリ微笑み挨拶を返すのだけど、声がかすれてしまう。
「宋ちゃん、どうしたんだ、その声?」
「風邪ひいたのか?」
「あらあら、受験生なのに困ったわね。今日は学校をお休みしなさい」
いの一番に心配性の兄ちゃんがぼくの声に気付き、それに続いて父さん、母さんが心配気にぼくを見る。
ちなみにこの場に姉ちゃんがいないのは、モデルという職業のため、家を離れマンションで暮らしているからだ。
その後、ぼくは軽い風邪だろうということになって、学校を休むことになった。
ぼくに過保護な家族は、風邪薬を大量にぼくに飲ませようとしたり、ぼくにおかゆを誰が食べされるかでもめていた。
そんなことよりも、父さん、兄ちゃん仕事に行かなくてもいいの?
しかし、数日経っても身体の節々が痛い症状は続き、そして声は落ち着いてきたが元の声より低くなった。
「もしかして、宋ちゃんは成長期なのかも………」
ちょうどぼくの見舞いに来ていた姉ちゃんが、ポツリッとそう呟いた瞬間、家族が氷のように固まった。
そう、ぼくにとうとう成長期がやって来た。
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