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男前なんかじゃない!!
11.お助けマン。

 怖くて、怖くて…何も考えられなくなって…。

 極限状態の中、ぼくの意識が遠くなる………その瞬間、ぼくの背中を支える手が…。

「宋ちゃん、大丈夫か!?」

「に、兄ちゃん?どうしてここに?」

 ぼくを支えてくれたのは、兄ちゃんだった。

 兄ちゃんは、心配気にゆっくりぼくの背中を撫でながら、側にあったベンチにぼくを座らせる。



 突然の兄ちゃんの登場にマドカさん達御一行は、「キャー、キャー」大喜び。

 なぜかって、ぼくより断然男前な兄ちゃんの登場だからだ。

 顔も良いし、身体もぼくみたくヒョロヒョロじゃくて、しっかりした大人の男性。

 ぼくと兄ちゃんじゃ、どちらを選ぶ?っと、言われたら、兄ちゃんを取るのは当然だ。

 でも、何でこんな場所に兄ちゃんが?



 ぼくが、そう疑問に思っているうちに兄ちゃんは、ぼくの側を離れマドカさん達御一行に話しかけていた。

「こんにちは、宋次郎の兄です。宋次郎はこの通り気分が悪いようなので、もし、よろしければ、今日は俺が皆さんにお付き合いしたいのですが、どうでしょう?」

 なぜここにいるのか?とかの疑問をすっ飛ばし、自分とどこかに行こうと言う、兄ちゃん。

 兄ちゃん、それはナンパじゃないの?そんなんじゃ、誰も引っかからないよ〜。



 しかし、ぼくの想像と裏腹にマドカさん御一行は大喜びで、その提案を受け入れる。

「もちろんいいですよ〜。よろしくお願いしますぅ!!私、宗次郎君の<友達>のマドカで〜すぅ。」

 マドカさんは<友達>をやけに強調し、満面の笑みで兄ちゃんに自己紹介した。

 そして、マドカさんの友達一同も先を争うように次々と、兄ちゃんに満面の笑みで挨拶していく。



 この時には、もう、ぼくの存在はないものとなっていた。

 やっと緊張の糸が切れて大きく息を吸い込むと、突然、姉ちゃんがぼくの腕を引き、ベンチから立たせ、マドカさん御一行がこちらを見ていない隙に、その場を離れる。

 訳がわからない状況だったが、あまりに見事な双子の兄姉の連携に、ぼくはそのまま姉に手を引かれ、近くの落ち着いた雰囲気の喫茶店に連れて行かれた。



 その後は、姉ちゃんに問い詰められ、でも、こんな話し外ではできなくて、家に帰って尋問されることになった。

 こうなると嘘つけないし、ぼくってほんと情けない。


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あきゅろす。
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