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喚ばれてみれば…
03.ドMの定義。

 僕は何がしたかったのだろう?

 自分がここにいた理由…ここに存在していたことを誰かに知ってもらいたかった。

 ただそれだけのことが、自分には難しく…。

 命の刻限が迫る中、必死に考えた。

 自分を知っている者は、両親に妹…あとは病院関係者のみ。

 病院内で友達ができたこともあるが、その誰もが自分を置いて退院して行き…そして、自分は忘れ去られる。

 誰でもいい………僕がいた事実を知ってもらいたい。



 この暗闇を歩くのは何度目だろう?

 目的もなく歩いていると、どうしても考えてしまう「僕はまだ生きているのだろうか?」と…。

 最後にいた場所は異世界だったはず…龍が飛んでいたことから推測するに。

 もしかして、あの異世界は『あの世』であって、もうあの時から僕は死んでいたのではないか?

「………いやいやいやいや、だったら何で存在感たっぶりの美形お兄さんに僕は毎晩抱かれ…」

 考えついでに、余計なことまで思い出してしまって、ポンッと顔が赤くなり言葉に詰まる。

 あれだけ手酷く抱かれたのに、それでも、あの憎しみの目が別になることを望んでしまう自分は…。

 圭は歩くのを止め、その場で頭を抱えて蹲る。

 思ったことは1つだ。

 自分はもしかしたら、『ドM』の素質十分な体質なのではないかっということだ。



「そもそも、心臓病で手術とか生死の世界を彷徨うなんてことを何度も続けているということは、『どM』になるのも当然だよね!…(圭は自分の考えで更に落ち込む)…いや、でも、それは長年培われたということで、これは自然のなりゆきでっ!!」

 蹲りながら、よくわからないことを叫ぶ圭は、ここに誰かがいれば、とても不信がられる行動だろう。

 幸いここには誰もいず、誰も突っ込む者がいないのだが、それでも、「ピチャーン…」という水音が聞こえ、圭は考えを中断させる。

「何の音?…水?」



 圭はこの場所にいることは、自分が生死を彷徨っていることを何度目かの経験で理解していた。

 だが、このような水音が聞こえてきたのははじめてで…。

 真っ暗な闇の中、さきほど聞こえた水音はどこからかと探る。

 もう一度聞こえれば…。

 ピチャーン!

「聞こえた!あっちだ!!」

 普通であれば、異常現象なのだが圭にとっては今の状態から逃れるのであれば、それが何であっても良かった………のだが。


[★逆召喚][召喚☆]

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