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喚ばれてみれば…
14.喚ぶ。bQ

「可能性としてですが、界が別れている今であれば、『召喚術』は使えないでしょうか?」

 ここでも、声をあげたのは宰相のモッティーハ。

 白龍王の右腕として宰相の地位にいるが、もちろん、学力&能力とも優秀な人物。

 ざっと、モッティーハに皆の視線が集まるが、それに慌てることもなく淡々と説明するが、ここで一つの問題点も発覚する。

「『召喚術』は知ってのとおり、別の界にいるモノを喚び、使役する術です。本来であれば、喚び出せる時間は、喚び出した者の魔力に反映します…が、今回は元々同じ界だった『人の子』を喚ぶのですから、それは当てはまらずこちら(龍人界)側に留めることができるでしょう」

 モッティーハの説明に皆が納得し、ならばさっそく『召喚術』を行なおうっと話を進めようとするのだが…。

 ここで、皆顔を見合わせてなんともいえない表情をする。

「クスッ。皆さん気付きましたか?そうです。我々は魔力が高いがゆえ、『召喚術』を使ったことがない。そもそも、『召喚術』は、人間の魔力の低さから編み出された…ある意味、神が授けた特殊能力みたいなものでしょう」

 モッティーハの説明のとおり、『召喚術』を使っているのは人間のみだ。

 龍人と同様に魔族、精霊も人間よりはるかに魔力が高く、誰かを召喚するなどと考えが及ばない。

 言い方を換えれば、召喚などまどろっこしいことなどせず、自力でできてしまうということだ。

「だ、誰か、に、人間が使う『召喚術』を、み、見た者はいるか?」

「「「………」」」

 震える声を出したのは、役職の1人であるが、それに答えるものは皆無だ。



「さてさて、白龍王困ったことになりましたなー」

 神殿長官のトトリスカスマイルが、長い白髭をいじりながら苦笑いすれば、それに答えるように白龍王も微かに笑う。

 1人1人の役職はそんな2人の様子をチラチラ見つつも、隣り合った者と『召喚術』について議論してし始める。

 ざわめく室内、声を高く上げることもあるが、とても打開策といえないものまで出始める始末。

 書物などで調べる…という手もあるかもしれないが、ことごとく『人間』と書かれているものは、200年前の戦争で有無も言わず燃やされた。

 最初に燃やされたのは、龍人と人間との恋愛書物、次に文化………最後は医術に関するものまで燃やされたのだ。

 それほどまで、龍人にとって人間とは憎むべきものになったと言える。


[★逆召喚][召喚☆]

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