喚ばれてみれば…
07.昔話。
黒姫巫女は、神の啓示を口にする前に、白龍王が信頼できる者をこの場に集めよと命じる。
それに、白龍王は大きく頷き、宰相に医者で側近である者と神殿にいる神官長を呼ぶよう命じる。
宰相がいなくなると、白龍王と黒姫巫女は豪華な椅子に座り、昔話に花を咲かせた。
「黒姫巫女、久しぶりです。最後にお会いしたのは200年ほど前でしょうか?」
「セレシュティスの両親が戦に赴く前に、そちは両親ともに黒の城の空中庭園を訪ねてくれたのぅー。そちはわらわを『姉』と慕ってくれて………今では逆の立場になってしもうたが…」
黒姫巫女は巫女を継ぐ際、成長を神に捧げる。
変わらない姿でいることが、巫女である証とも言える。
なので、200年前に白龍王が出会った時の黒姫巫女は、現在も変わらず100歳(10歳)程度。
一方の白龍王は、巫女ではないので、当時57歳(5歳)と子供の容姿も257歳となり、青年の姿に変貌していた。
「わらわは、龍人界の一番高い庭園(黒の国)にいるゆえ、地に降り立つことは久しい。セレシュティスを気には掛けていたが―――」
「いえ、オレ…私には両親亡きあとも、信頼する側近や臣下もいましたし、黒姫巫女に気を向けて頂かなくとも大丈夫ですよ」
「そうかのぅー、セレシュティス…。いや、今は何も言うまい。ところで、セレシュティスはもうわらわを『アスピアルナ姉上』とは呼んではくれぬのか?」
黒姫巫女は、何を言っても白龍王から真実を聞くのは難しいと思い話しを逸らすが、これはおもいのほか、白龍王に効いたようだ。
「懐かしいですね。アスピアルナ姉上…そう呼んで良いのであれば、喜んで。それでは、私のことは『白龍王』と呼んで頂きたいのですが」
「それは『却下』じゃ!!わらわは、そなたの名付け親じゃ!『通常名』ではあるが、それはわらわの誇りだからな!」
またしても、腹をつき出し威張る黒姫巫女。
それには、白龍王も素で笑みを浮かべて、「そう言えば、そうでしたね」と、思い出しように目元を弛め、『セレシュティス』と呼ばれることを了承する。
2人の和やかな昔話はこうして、啓示を聞く者が集まるまで続けられたが、黒姫巫女が白龍王の現在の心の内を聞く機会は与えられなかった。
[★逆召喚][召喚☆]
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